それでも勇者は世界を救う!

闇次 朗

第1話 それでも勇者は歴史を学ぶ!

 人族と魔族……相容れぬ二種族はこれでもか! というくらい長い長い年月をお互いを滅ぼす為に戦い続けてきた。争いの最初の切っ掛けが目玉焼きに付ける調味料が醤油かケチャップかという下らない理由であった事を忘れてしまうくらいに……。


 この世界の最初の人類はアダムとイブ、そしてナカムラだった。アダムとイブは神からリンゴとデザートナイフを貰い、ナカムラは召喚術を貰った。


 ナカムラはこの世界に色々な生きものを召喚した。


 皆が楽しく愉快に過ごせる世界を作る為に。


 アダムとイブはリンゴの切り方による大きさの差でいつも喧嘩していた。自分のリンゴの方が小さいと本当に些細な事で争った。


 だが、そんなは長くは続かなかった。


 アダムは言った。

「お前みたいな強欲な女より、可愛くてモフモフなクマの方が100万倍可愛いわ!」


 クマ娘はナカムラが召喚した獣人のメスだった。


 イブは言った。

「貴方みたいな毒リンゴしか取って来れない甲斐性無しより、毎日美味しいリンゴを持って来てくれるナカムラの方が100万倍優しいわ!」


 毒リンゴ仕込んだのはナカムラだった。


 こうしてアダムとイブは仲違いし、ナカムラとイブは結婚し人間の子供を得た。


 アダムはクマ娘とまあそのなんだ……ア.クマが生まれた。こうして人間と悪魔族が誕生し―――。




「おい、ちょっと待てジジイ。俺が子供だと思ってテキトーな事、うたってるとぶっ殺すじょ!」


「ま、待つのじゃ勇者よ、我こそはヒューマン真教最高位の大神官―――口のきき方に気をつけ……」


「殺すじょ!」


「サーセン」


 魔族を滅ぼすための最終兵器

【勇者】の教育が始まった5歳の春だった。



 ーつづくー

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