第29話 王子vs最強の女剣士

「なあなあ、あの二人どっちが勝つと思う?」


「……どうだろうな。二人の実力を私は知らないからな」


「───ハイネは強いよ」


皆の視線がクリストラに集まる。


「ハイネはね、お父さんが有名な冒険者なんだ。そんなお父さんに憧れて今まで努力してきたんだ。実戦経験もある。少なくとも、同年代の女の子には剣で負けることはないと思うよ?」


「へー!そっかぁ!そりゃ、やってみてぇなぁ」


話が一区切りついたところで二人の準備ができた。


「二人とも、準備はいい?」


「うん!」「いつでもどうぞ」


「それでは!ハイネちゃんvsカインくんで第二試合、スタートッ!」


先生の声と同時にハイネは距離をつめる。


「へぇ、双剣か……」


冷静に分析を済ませたカインに対してハイネは猛攻をしかける。


「はぁぁあッ!!!」


双剣を活かした手数の多さと流れるように攻撃を続けるその姿はまるで舞っているようだった。


「(……? 攻撃を重ねる度に威力が上がっている?………双剣のスキルかな)」


「気づいたかなッ?これはねッ、私の固有スキル、無双乱舞だよッ!はぁッ!」


止まらない攻撃のなか、両手を使い全力で振り抜く。


「(ッ!これはさすがにッ………!)」


ドゴォォォォォォォオオオオオンッ


剣の打ち合いで出るような音ではない音が響く。

それと同時にカインはすごい勢いで吹き飛ばされる。


「にししッ、凄いでしょ!」


「───ああ、ほんとに、まったく、……すごいよ」


「ッ!!!」


瞬間、ハイネは臨戦態勢に入った。

直感で危険だと察知したからだ。


「さて、次は僕の番だね」


そう言いながらゆっくり近づいてくるカインは、ハイネからしたら断頭台に立たされて、殺されるのを待つような気分だろう。


それほど今のカインの雰囲気は別人・・だった。


「それじゃあ………いくよ」


瞬間、カインの姿が消える。

背後にいつのまにか移動していたカインの攻撃を反射ではじくが、次は別方向から同じような攻撃が向かってきて、それをはじく。

その繰り返しで素人から見たら何が起こっているか理解出来ないぐらいには高次元の戦いを披露していた。


───しかし、終わりは突然やってくる。


バキィィィィィィ


「くっ………」


ハイネが持っていた木剣が両方とも綺麗に折れたのだ。


「……まさかあのスピードの戦いのなか、剣の一点だけ狙って攻撃してたと…?」


「まあね」


そこには先程の恐ろしい雰囲気を纏っていたカインはいなかった。


「固有スキル、なのかな?」


「うん、僕の固有スキル、それは"偉人憑依"。一日に一回だけ歴史上にいる人を憑依させることが出来るんだ」


「ははは、それは負けるわけだ……」


言葉と裏腹に悔しそうな顔を浮かべるハイネは、どこか清々しい顔をしていた。


「……うん!これからやるべきことが見えたんだ!立ち止まってはいられないよね!」


「そうだね。僕も、僕自身も、強くならないとダメだね」


「はい!それじゃあ、次の試合誰がする?」


「おっしゃあ!俺が行くぜ!」


「なら、私がいくわ」


「おっ!クリステラか!全力でかかって来ていいぜ!」


「おっけぇ、全力で〇玉潰す気でいくわ」


「そ、それだけはやめてくれ……」


所々に笑い声が湧く。

兎にも角にも、これで第三試合目のカードが決まったのであった。







────────────────────


読んでいただきありがとうございました!


まずは、短くなってほんっっっとにごめんなさい。🙏🙏🙏


試合シーンもう少し長めにしようかと思ったりもしたけどしっくりくるのが思い浮かばず……。


あと、不定期更新ってことでやってますが、毎週土日のどちらかに出すようにしました(ずれることがあるかもしれないけど大目に見てもらって……)。


別作品の話になりますが少し詰まったのでしばらくは出せません……。ごめんなさい。


今回は謝ってばかりでしたが、次の話もお楽しみください。

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