第27話 冒険者の街

翌日、早速冒険者ギルドに僕は来ていた。

もちろん、ギルドに入ったときに「あ、あれが白い悪魔か……!?」などの反応がほとんどだった。

受付嬢からは、「かっこいい…」やら「素敵…」やらで騒いでいた。


「おはようございますにゃッ!本日はどのようなご用件だにゃ?」


と、そんな中に一際元気なケモっ娘が対応してきた(ちなみに猫人族)。


「おはよう、とても元気だね。お名前は?」


「私の名前はイルミって言うにゃ!このぐらい元気じゃにゃいと……、やってられにゃいからね……」


暗い顔で俯く。

しかし、すぐさま切り替えて元のテンションで話を続ける。


「それでそれで!本日はどのようなご用件だにゃ?」


「うん。ここのギルドマスターに会えるかな?」


「ギルドマスターですにゃ?S2ランクの白い悪魔さんなら多分会えると思うにゃ!ちょっと待っててにゃ!」


そう言うと、急いでギルドの奥に消えていく。

白い悪魔さんじゃなくて名前で呼んで欲しかったな……(泣

そんなことを考えていたらイルミが戻ってきた。


「応接室まで連れてきて欲しいそうにゃので案内しますにゃ!」


そう言ってギルドマスターが待っている部屋まで向かう。


「おはよう、君がアリエルくんかぁ。白い悪魔なんて呼ばれてるけど実際見ると実感ないねぇ」


そこにいたのは、細身の30代前半ぐらいの容姿をした一見、強そうには見えない人がいた。


「あなたは……?」


「俺はここのギルドマスターのキリ。用件があるって言ってたけどなんのことかね?活動拠点でもなんでもないところなのに…」


「じゃあキリさん、でいいですかね」


「キリでいいさ」


「じゃあキリ、あなたは僕が貴族だってことは知ってる?」


「ああ、知ってるさ。闇ギルドを一夜にして潰したやつだろ?知らない方がおかしいさ」


「それもそうだね。で、学園を卒業したら領地を正式に受け取ることになってるんだけど、そこがここの領地でね」


「へー、領主は君になるのか」


「そう。で、あまりにもここの現状を見てられなかったからさ、ちょっと手を出そうと思ってね」


「……何する気だ」


その目には警戒の色が見える。


「そう警戒しないでいいよ。僕の考えとしては、ここを冒険者の街にしようと思ってるだけだから」


「………は?」


なんとも間の抜けた声が返ってきた。


「ちょ、ちょっと待ってくれ。あんたは今の状況分かってて言ってるのか?ただでさえ厳しい状況なのにそんな冗談に付き合ってあげるほど暇じゃないんだけど」


「まさか、冗談なわけないじゃないですか」


「……はぁ。聞くだけ聞いてあげよう」


僕は剣のこと、ダンジョンのこと、そしてその後の運営のことなど事細かに説明した。


「ふむふむ……、筋は通ってるな。確かにそれならいけるかもしれない。でもまさか、鍛冶ギルド・・・・・とはね……」


「冒険者ギルドがあって商人ギルドもあるのに鍛冶ギルドがあったっておかしくないでしょう?」


「たしかにそうだけど……、許可は?」


「もちろん、陛下公認です!」


「ははっ、まあいいさ。とりあえずまずはダンジョンを見てみたい」


「分かりました。じゃあ飛びますね?」


そう言うと、キリさんの肩に手を触れて時空間魔法で転移する。

ここでもキリさんは、


「……へ?」


間の抜けた声が出ていた。





◇ ◇ ◇





「はへー、こんなとんでもダンジョンを創ったのかぁ」


キリさんにダンジョンのことを話終えると、次はダンジョン周りの話になった。


「──で、ここに鍛冶ギルドを置く感じにしようかなと思ってるんだけど、何か問題あるかな?」


「いや、絶妙な位置だと思う。外壁をここまで繋げるのは相当時間かかりそうだな」


「そこは僕の魔法でなんとかするよ。で、鍛冶ギルドやら冒険者ギルドやらは、集めた人達で頑張ってもらう感じで……」


「なあ、そう言えば聞いてなかったけど、鍛冶ギルドのギルドマスターとかは決まってたりする?」


「うん!僕が目をつけた匠に話をしたら喜んで受けてもらったよ。もちろん、現役として武器を作れるっていう前提だけどね」


と、ダンジョン近くで話し込んでた僕たちに近づいてくる人がいた。


「エルさん、かなりの人が集まりました!」


「へー、どれくらい?」


「ここのスラム街の人たちにも声をかけたら割と、というかほとんど全員がやることになったので1000人ほどです!」


「そんなに!?……うん、これはいい傾向だ!このまま、ちゃんとスラム街にいる人たちにも仕事を与えてやれば上手くまわる」


「ちょっと待った。給料の方は大丈夫なのか?1000人となるとかなりの額だぞ?」


「そこは大丈夫です!予算の範囲内なので」


「そうか、なら明日から早速動き出すか」


「はい、けど外壁だけは今日ちゃちゃっと終わらせちゃいましょう」


「ははっ、冗談もほどほどにしな。じゃあ帰るぞ」


「スキル【万物創造】発動ッ!」


僕がそう言った瞬間、ズガガガガガガ、と元々あった外壁と全くおなじ素材で全くおんなじ強度の外壁が瞬く間にダンジョン周辺まで覆っていく。

それを見てキリは、


「…………もう勘弁してくれ」


呆れを通り越して諦めモードに入っていた。







────────────────────


読んで頂きありがとうございます!


補足です。

先程出た、スキル【万物創造】ですが、創造魔法と違うところは、


万物創造→原子レベルで0から創造できる。(科学的というか物理的というか伝わってくれw)


創造魔法→新しい魔法を創造できる。消費魔力がとんでもない。


って感じで分けてます!


次の話もお楽しみください。

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