第24話 Sクラスの顔合わせ…

「忘れ物はない?」


「うん、マリーと確認したから大丈夫なはずだよ」


「そろそろ出るぞー」


「はーい」


返事をして馬車に乗り込む。

どこにいくかというと、今日は僕の入学式なのだ。

入学式には、親も同伴するものがほとんどでとくに今年は王族であるカインも入学するので必然的に陛下達もくる予定なのだ。

つまり、貴族は行かなければ無礼になるからほとんどが来るはずだ。

平民の人たちの場合、受かること自体凄いことなので親が来ない平民の子は珍しいらしい。


「しばらくは会えなくなるのね。お母さん寂しいわ」


「すぐに帰ってくるよ」


学園に入ったものは寮に入ることが必須になる。

もちろん、緊急時や特別なことがあれば学校の許可を得て家に帰ることはできる。


「ん、あの紋章はサシャのとこじゃない?」


「あらほんとね」


学園についたため馬車から降りるとすぐにサシャがこっちに来た。


「おはようエルくん、制服似合ってるよ」


「ありがとうサシャ。サシャの服も似合ってる」


「ふふ、ありがと」


「クラウドさんもおはようございます」


「うん、おはようエルくん。更にかっこよくなってるよ」


「そうね。あの脳みそ筋肉ダルマから産まれた子供とは思えないわ」


「はっはっは、サシャちゃんもあの性悪女から産まれたとは思えないほど可愛らしいな」


「もっかい言ってみなさい脳筋!」


「耳が悪いようでなによりだ、はっはっは、 !」


「二人とも?今日の主役は子供たちなのよ?いい歳した大人がはしゃがないで」


「「ヒィッ」」


おぉ、マイマザーのオーラが尋常じゃない…、さすがS1ランクなだけはある…。


「エルくん、そろそろいこ。遅れちゃうよ」


「そ、そうだね。じゃあお母さん、後はよろしくね」


「ええ、いってらっしゃい」





◇ ◇ ◇





「───それでは、この5年間を無駄にしないよう精進してください」


学園長の話が終わり、進行の人が「それでは、指定されたクラスに各自移動してください」と言われ一斉に移動しだす。


「じゃあねエルくん!」


「うん、またね」


サシャと別れた僕もSクラスの教室へ向かう。

ちなみにサシャはAクラスだ。


「Sクラスは、と、ここか」


ガラガラガラ


ドアを開くと既に数名が教室にいた。


「エルッ!久しぶりだな」


「ドール!やっぱりドールもSクラスだったんだね」


「もちろん!辺境伯家の人間として恥ずかしくない成績を残しておきたかったからな!」


「でも座学大変だったんじゃない?」


ドールと3年程の付き合いで分かったことがある。

そう、ドールはかなり脳筋なのだ。

戦闘面になれば同年代の中ではトップクラスだけど、勉強面ではかなり残念だからな…。


「実技で補ったからいいんだよ」


「ほう。二人は知り合いなのか」


「えっと、君は」


「レウス辺境伯家長女のローズ・フォン・レウスだ。よろしく頼む」


「ああ、君が。アリエル・フォン・アルバートです。気軽にエルと呼んでくれてかまわないよ」


「そうか、では私もローズと呼んでくれ」


「よろしくね、ローズ」


「! 君もよろしくね」


「は、はぃぃぃぃ、よ、よろしく、お願い、しますぅ…」


「はは、そんな堅くならないでいいよ。ここじゃ実力主義だからね」


「は、はい…、あっ、わ、私、ルミエと申しますッ、よ、よろしくお願いしますぅ…」


「よろしくルミエ。僕のことはエルでいいよ」


「わ、わかりましたぁ…」


その後、残りの数人と先生が来た。


「よし、全員揃ってるねー。じゃあ自己紹介からするね。私の名前はテスタと言います。試験の時に会った人もいるね。で、このクラスは5年間ずっと一緒だから仲良くしてねー。まあ、Aクラスから上がってくる子もいるかもだけど。次は皆の番だね。じゃあ、首席のアリエルくんから順に言ってってー」


なんと担任はテスタさんだった。

相変わらず緩い先生だな…。


「アルバート辺境伯家三男、アリエル・フォン・アルバートです。皆とは5年間同じクラスということで仲良くしていきたいです。5年間よろしくお願いします!」


最後に微笑みかけたら女性陣が頭を銃で射抜かれたような反応をしていた(ローズ以外)。


「ローファウト公爵家長男、リヴェル・フォン・ローファウト。いずれ白い悪魔を超えて首席の座を奪う。それだけだ」


またしても女性陣は頭を射抜かれていた。

いきなり対抗心MAXだった。


「私か。レウス辺境伯家長女、ローズ・フォン・レウスだ。更なる強さを求めてここに来た。お互い切磋琢磨して強さに磨きをかけようではないか。5年間よろしく頼む」


ローズはかなりの戦闘狂バトルジャンキーなのかな?

でもそこがかっこいい!


「次は僕だね。カイン・フォン・グランデです。知っての通り王族です。だけど皆とは友達として関わって行きたいと思ってます。気軽に喋りかけてくれると嬉しいよ。5年間よろしく」


これまた女性陣が頭を射抜かれていた。


「うっし、ルドール辺境伯家五男、ランドール・フォン・ルドールだ!あんまし頭はよくないけど、戦闘に関しては遅れを取るつもりは毛頭ない!5年間よろしく!」


これも女性陣が頭を射抜かれて……まぁ、自分で言うのもなんだけど前3人が強烈すぎた。

充分かっこいいんだけど、うん、どんまい!

当の本人は気にしてない、というより気づいてない感じだった。


「エレクトス侯爵家次男、ネアン・フォン・エレクトスです。リヴェルさんを支えられるように尽くしたいと思ってます」


「あたしはハイネって言います!平民だけど努力して努力して勝ち取ったこの席は誰にも譲るつもりはないです!よろしく!」


「はあ、はあ、このクラス、イケメンの宝庫ね……。クリステラよ。イケメンに目がないからそこんところよろしくー。ちなみに目標は卒業するまでに天下一のイケメンを見つけて彼氏にすること!」


「はっ、わ、私の番…。わわ、わわわ私の名前は、はは、るるるるルミエとももも申しますぅぅぅ………お願いしますぅ…」


……若干一名変なのが居たけどスルーしよう。


「ひとつ、皆に言っておくことがあるわ!」


テスタさんに視線が向く。


「いい、あなたたちはこの学園のSクラス。つまり、トップにいるの。Sクラスだからって調子にのってると容赦なくAクラスに落とすし怒りもするわ。そこのところを重々理解しておくこと!いい?」


「「「「「「「はい!」」」」」」」


「よし!じゃあ5年間よろしくね!」




そうして、波乱万丈の5年間が始まる。





────────────────────


読んでいただきありがとうございます!


補足です。

カインは王族では次男に位置します。

正妻の子供です(リーファですね)。


もう少し出したら別作品を並行して作ろうかなと思ってます。


次の話もお楽しみください。

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