第20話 闇ギルド殲滅戦②

「それじゃあ、……始めようか」


 闇ギルドアジトの構造は把握している。


 説明すると、見た目は豪邸で3階建てである。中の構造は、1階はギルドの受付で、空いたスペースは情報交換などに使われているのだろう、椅子と机が置いてある。

 2階には、会議するためかどうか知らないが4つほど部屋があり、3階に執務室もとい闇ギルドのトップに君臨する頭と幹部の個室合計5個がある。人数は1階に10数人、2階に3人、3階の個室にそれぞれ1人いる状態だ。


「魔法部隊、アンチマジックエリアの展開を」


「「「「「結界魔法"アンチマジックエリア"」」」」」


ちなみに魔法部隊は5人で形成されている。

あと、もちろんこの場にいる冒険者全員には気配隠蔽と魔力隠蔽をかけてある。自分でかけたからそうそう見破れるものではないと思う。


「なあ、本当に俺らは何もしないで包囲してるだけでいいのかよ」


彼はAランクパーティのリーダーの、ヘンゼルである。王都を拠点に活動しているためランクが上がるにつれ接する機会が増えた者たちの1つである。


「ただ包囲してるだけじゃない。もし外に逃げ出したりするやつがいたらその場で仕留める役割もあるんだ。場所を突き止めたのに、何人か逃しましたじゃ話にならない。これは一発で仕留めきらないと駄目だ」


「俺としてはもうちょい出番があってくれても良かったのによ」


その言葉に満面の笑みでこう返す。


「枷にしかならないよ」


ヘンゼルは顔を引きつらせながら「あ、悪魔…」などと言っていたが、気にしない気にしない。


「さて、時間も有限なことだし、そろそろ乗り込もうか」


 アンチマジックエリアを展開しているため魔法は使えない。……いや使おうと思えば使えるんだけど、まあ、ちょっとだけ自重ってのをしてみたかった訳だ。

 

 そんなテンションでアジトに音を一切立てずに侵入する。魔法ではなく、スキルで気配などを隠蔽しているため、アンチマジックエリアの中でも余裕で見つかることはない。


 空間魔法の応用で空中に足場を創り足に力を込める。なぜ足場をつくったかって? 僕が力を込めたら床が壊れてバレちゃうじゃん。


 そういう訳で、空中を瞬く間に駆けて一人一人の意識を奪い、無力化する。侵入して3秒も経たずして1階を制圧する。


「(1番の得意分野でやられる気持ちってどんな感じなんだろうね)」


 続いて2階も同じように制圧する。


「随分と派手に暴れてるようね。っふ、ふふふ、ゾクゾクするわ!」


 後ろから声をかけられたときには、そいつの背後をとっていた。


「っと、偽物か。仮にも幹部ってだけはあるみたいだね」


「あら?気づくのが早すぎないかしら。ふふ、そんなところもまた、いいわ!」


「一応アンチマジックエリアを展開してるんだけどな。どうなってるの?」


「企業秘密よ♡ 私のわんちゃんになってくれるのなら、話は別だけどね……あはっ♡」


「……はぁ、まあいい。そろそろ消えてくれ」


そうつぶやいて腕を一振り。すると霧のようにしてだんだん消えていった。

そして、3階に上がり数人集まっている部屋に入る。


「おいおい、堂々と入ってくんのかよ」


「そこがまたいいところじゃない♡」


「ぶつぶつぶつ………」


「なんて言ってんのぉ? いつも声ちっちゃいから聞き取れないんだけどぉ」


 そこには、さっき見た黒髪ロングの女とチャラそうな男、全身黒の包帯みたいなやつで巻かれたやつ、のほほんとした力が抜けてるような男がいた。


「全員で相手してくれるの?」


「いんや、俺らが束になったとしてもあんたにゃ勝てねぇからな、ある提案があんだわ」


「提案?」


「そ、乗るか乗らねえか今決めな」


「先に内容を言え」


軽く殺気を放って答える。


「おー怖い怖い。じゃ言わせてもらうけど、ボスと一対一で勝てたら俺たち全員降伏してやるよ。どうだ? 悪い提案じゃねぇだろ?」


「約束を守る保証がない。だから、誓約の魔法をかけさせてもらうけどそれでいいなら」


「はっ、お好きにどーぞ」


「もう終わったぞ」


「あん?」


「終わったと言ったんだけど」


「……ま、いいや。じゃ先に外でてるぜぇ」


「いやここで待ってろ」


そして、喉に神気を纏わせ…


「『動くな』」


「「「「!?」」」」


「これで俺が許可するまでお前らは動けないから」


 そう言うと、部屋を出て残りの一人がいる部屋へむかう。


 ちなみに、誓約の件について説明すると、簡単に言うと精霊を使っただけだ。話していた内容を精霊達に記憶させ、破ったときには……、察してくれ。


「意外とあっけないもんだなぁ」


そんなことを思いながら部屋の前につく。

そこで違和感を覚える。


「この雰囲気は……」


──精霊、のようですね──


「やっぱりか」


──しかも普通の精霊ではないでしょう。上位の精霊、ただの憶測ですが大精霊ではないでしょうか──


「これはネロに来てもらうかなぁ」


──その方が良いでしょう──


「ネロ、来てくれ」


 そう呟いた瞬間目の前に水が溢れてくる。そして、中から水の大精霊であるネロが現れた。


「呼んだかしら」


「ああ、……気づいた?」


「もちろん。これは闇の大精霊ね」


「闇の大精霊……、強いのか?」


「いえ、言わせてもらうけど大精霊の中では最弱よ」


「え……?」


「たしかに精霊の中では強い方だけど他の大精霊と比べたら大して強くはないわ」


「なんだ、それなら杞憂だったみたいだね」


「1つのことを除けば、だけれど」


 話してる途中、部屋の奥からなにか黒いものが広がっていき、瞬く間に閉じ込められた。


「ちっ、油断した!」


「部屋に入ってくるのが遅すぎて手がでてしまった」


「クックック、俺様の領域テリトリーに入ったからには何も出来なくなるさ」


部屋から出てきたのは一人の男と禍々しい雰囲気を纏った、闇の大精霊がそこにいた。


「相変わらず趣味の悪いこと」


「そうか? 俺様にぴったりだと思うけどな」


「そういうとこも含めてお似合いよ」


「クックック、そりゃどうも」


「ネロ、いくぞ」


「ええ」


「上手くやれよ、クロウ」


「当たり前だ」







────────────────────


読んでいただきありがとうございます。


なろうさんの方で出させて頂いてる作品で先の話がしっくりこないので、こちらを当分進めます。



次の話もお楽しみください。


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