第15話 エル始動
「お前たち、誰からの命令でやった」
「答える訳がねぇだろうがばァか!」「くたばれクソじじいッ!」「調子のってんじゃねーぞ!」「さっさと解放しやがれ!」
はは、ここまで反抗的にくるとは...自分達の状況が分かってないのか?
「クソじじいとはなんだ!クソじじいとは!」
「父さん!なんで挑発のってんの!?」
「へっ、こいつ相当バカだぜ!」
はぁ、父さんが挑発にのったからなめられたじゃないか...少し調子にのりすぎだな。
「おい、なんでここにいるかよく考えてから発言した方が身のためだぞ?」
スキルレベルExを誇る俺の殺気で四人が震え上がる。
「もう一度聞く。だれからの命令だ?」
「うっ.....「早く答えろ」ひッ.....へ、ヘンドリック伯爵家のやつだ」
やっぱりか。でもそれにしては大胆に来たな。寝込みなどを襲えばいいものを...
「狙っていたのは、サシャ・フォン・ヴァーミリオンであっているか?」
「そ、それもそうだが依頼主はあんたも殺せと言っていた...」
「おい!そんなべらべら喋っていいのか!」
「こんな化け物と敵対するよりマシだ!」
「黙れ。お前たちは俺が聞いた事だけ答えてればいい」
「ひぃッ...」
……それにしてもビビりすぎだろ。俺そんな怖いか?
「エル.....怖い」
「父さんは黙ってて」
「はいッ!」
敬礼しちゃったよ。親が息子に敬礼しちゃったよ。
「…ちょっと待て。ヘンドリック伯爵家
「ちっ、鋭いやつめ」
ということは、もしこれが公になったとしても"自分はやってない。こいつの独断だ"とでも言って言い逃れする気だったんだろう。…まったく、どこまでもクズだな。
「…それ以外に別の依頼はされたか?」
「…されてない」
「……嘘、だな。本当のことを言え、僕にうそは通じない」
「なッ……お前はどこまで化け物なんだ」
「質問に答えろ」
「ちっ、…情報収集だ。ヴァーミリオン家の令嬢は前から狙ってたらしく情報を集めていたようだが、新しく割り込んできたあんたの情報がないっつーことでいろいろ調べてこいと言われたのさ」
「……」
たしかにいろいろ計画するためにはまず情報が必要になる。だけどその計画に俺が割り込んだためまずは俺の情報がないと進められない、と言ったところか?
──マスター、いったん戻って精霊たちが集めた情報を聞くのも一つの手だと思いますけど──
「(たしかにな。いろいろ照らし合わせたい事だらけだからな)」
「え、エルよ…俺を忘れとらんか?」
「いやいや、そんなことないよ」
「そ、そうか?」
「けどいったん部屋に戻りたいかも。いろいろ整理したいし…」
「…分かった。いったん戻ろうか」
◇ ◇ ◇
「ありがとう、ネロ」
『ええ、何かあったらまた聞いてちょうだい。この国の情報は全て把握しているから』
そう言うと念話をきる。
「それにしても、精霊の情報収集力は尋常じゃないね」
──これが精霊の強みのひとつなのです!──
改めて精霊という戦力の力を理解したエルであった。
「よし、じゃあまとめるとするか。まず、馬車の件ではヘンドリック伯爵家の仕業だった。その動機として、」
──ドラウド・フォン・ヘンドリックとサシャ・フォン・ヴァーミリオンの婚約をヴァーミリオン側が提案に乗らなかったから...愚かですね──
「まったくだよ。で、今回はあの決闘の件の腹いせに殺せと命じた...依頼させたといった方が正しいか」
──ですね。ヘンドリック伯爵家が今までやってきたことが明らかになったことでこちらはかなり優位に立てます──
「そうだね。これからどう動くか決めていこうか」
〜ヘンドリック伯爵家side〜
「クソッ!たったガキ二人だぞ!あいつらは何をやっていたんだ!!!」
机を叩く音が部屋に響く。執事やメイドが体を震えさせながら見ていた。
「はぁ、少しやけになって適当になってしまったな...ふん、今度はしっかり策を弄して殺してやる。…ふ、ふふ、ハッハッハ!おい、今から指示をだす。守れなかったら即刻クビだ、いいな?」
「「「「は、はいッ...」」」」
「想定外だったのはあのアルバートのことだ。もし、アルバートのところの何者かが裏ギルドの精鋭達を捕まえて情報を聞き出していたとしても使用人がガキ二人を殺せと言ったとしか言えないはずだ。たったそれだけの情報で私は止められない。アルバートのガキということは腕は確かなはずだ。...おい、何かあのガキの情報はないのか」
「は、はい。どうやら、ヴァーミリオン家のご令嬢様がお茶に誘う手紙を書いていたそうです」
「よし、そこだ。そこであのガキを仕留める。そのお茶会はいつだ」
「あ、明日のようです」
「明日か.....ならばヴァーミリオン家の使用人の弱みを握って、だすお茶に毒を盛らせろ。くれぐれも慎重に進めろ。分かったならいけ!」
「は、はい!」
使用人は急いでその部屋をでていった。
〜エルside〜
「ふ〜ん、なるほどね」
エルは精霊を通してヘンドリック伯爵家の一室を見ていた。そこでもまた、精霊の凄さに感心していた。
「なら急いでサシャの家に向かおうか」
その後、父さんに話をしたが信じてもらえなかったので精霊の事を話すと「なんだ、そういうことなら先に言ってくれ」と言われた。実物を見せずに信じるとは...、そしてエルは外出許可をもらった後、転移でサシャの家にとんだ(流石にいきなり家の中に現れると驚かれるので少し離れたところにとんだ)。門番の人にアルバート辺境伯家の紋章を見せて入れてもらうとすぐにクラウドさんやサシャたちが来てくれた。
「すみません。こんな遅くに...」
「いや、それはいいよ。けど...何の用もないわけじゃないよね?」
「はい。話が早くて助かります。細かく説明する時間はないので簡潔に説明します。今、僕とサシャがヘンドリック伯爵家に狙われています」
「「「え?」」」
「進めますね。それで多分手紙で明日お茶に誘ってくれたと思うんだけど...」
「うん、手紙を送ったわ」
「そのことが相手に知られていたようで使用人に目をつけられています。だから返り討ちにしたあげくそのままヘンドリック伯爵家に突撃しちゃおうかな、と言うわけで...さっそく動いたようですね」
「ちょ、ちょっと話についていけないけど、今危ないということは分かったよ...」
「それだけ分かってくれれば十分です。皆さんはここにいて下さい。一応結界のようなものをはっていきます」
「わ、私が手紙を送ったせいで使用人たちが狙われてる...どうしよう!?」
「サシャ、大丈夫。使用人は絶対守る。君のせいじゃないよ。だから、安心して?」
そう微笑みかけるとまたしても顔を赤くして俯いていた。そして、高密度の魔力壁を作り出した。
「君は本当に子供なのかい?」
「ピチピチの7歳です」
「はぁ、まあとりあえず言う通りにするよ。エルくんに任せる」
「ありがとうございます。では」
そう言い残し既に感知していた気配のもとへ向かう。するとそこには、黒装束の男が使用人の首筋に短剣を突き立てていた。
「随分楽しそうなことをしているじゃないか」
「ッ!?誰だ!見つからないようにしていたのに!」
「そんなことどーでもいいんだよ...」
「ッ...」
突き刺すような瞳を向けるだけで気を失ってしまった。
「……ここまで化け物だったかな」
少しへこむエルだった。
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お読み下さりありがとうございます。
テスト終わったァァァァ!!!この解放感!
なので、そろそろ出していくと思います!続きもお楽しみ下さい!
ちなみに2月11日、誕生日でした。ありがとうございます。
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