第12話 お披露目会無双?③

国王陛下達に挨拶を済ませたあと父さん達から「大人同士で喋ってくるからお前は他の子達と喋って来なさい」と言われたものの、僕が知っている同い年の友達と言えばサシャとルドールぐらいしかいないからそんなこと言われても困る。なので、絶賛ぼっちパーティ中だ。そんなこと考えていると...


「御機嫌よう、さっきの戦いぶり見させて貰いましたわ!どうか、私と回って下さらないかしら!」「ちょっと!抜け駆けはよくないわよ!どうか、私と回って下さらないかしら!」「私だって一緒に回りたいわ!どうですか!御一緒させて下さい!」


「えっ、あ、いや、その...」


なんだなんだ!?急に女の子から囲まれてびっくりしたよ!えっとこれ、どうしよ...


「ちょっと待ったァァァ!」


突如、女の子達の間に誰かが割って入ってきた。


「エルくんと回るのはこの私よ!」


「さ、サシャ!」


と、振り向きざまにウィンクしてくるサシャは、控えめに言って天使...いや女神か?これはなかなかに決め難い問題だな...


「ヴァ、ヴァーミリオン家のご令嬢だわ...」「ヴァーミリオン家が相手じゃ仕方ないわね」「諦めましょう...」


割って入ってきた相手がヴァーミリオン家のご令嬢と知るとそそくさと逃げていった。


「サシャぁ、ありがとぉ!」


と、手を握ると...


「えっ、あ、別に大した事じゃないわよッ!それに他の子達にとられたくなかったし...」


「なんか言った?」


「い、いえッ、なんでもないわ!それより回りましょ!」


「うん、そうだね!じゃ僕がエスコートしてあげるよ」


「それじゃあ、お願いしようかしら。ふふっ」


その後は、二人で楽しんだ。たまに、サシャと交流のある女子友から二人の関係についてキャッキャ言ってたから僕は弁明してたけどサシャは何故か満更でもない感じだった。それからは何事もなく時が過ぎ、そろそろパーティもお開きとなる時間になった。


「エルくん、ちょっといいかな」


「陛下ッ、なんでしょうか」


「決闘のことでちょっと謁見の間にでてくれるかな。公の場でちゃんと言っておこうと思ってね」


「分かりました。では、父さんも出席するのでしょうか」


「その予定だよ。相手の方もね」


「分かりました。では後ほど」


「ああ、頼んだよ」


◇ ◇ ◇


陛下の締めでお披露目会が終わったがこの後謁見がある事から控え室に向かう。ちなみに父さんも一緒だ。


「父さん、こういうの初めてだからどうすればいいかわかんないんだけど...」


「俺を真似していれば大丈夫だ。お前ならできるだろう?」


「はあ、分かったよ。やってみる」


控え室で少し待っているとメイドから呼ばれた。そのまま、ついて行くと扉の前までくる。


「アルベルト・フォン・アルバート様また、アリエル・フォン・アルバート様のご登場でこざいます」


と言うと、扉が開かれる。そのまま、国王の前まで歩いていくと父さんが膝をつく。それにならい自分も膝をつく。


「アルベルト・フォン・アルバート、アリエル・フォン・アルバート、陛下の御前に参上致しました」


「うむ、ご苦労。此度はアリエル・フォン・アルバートとドラウド・フォン・ヘンドリックの決闘のことで呼んだ。応じたことに感謝する」


そういった後宰相であるマルベルを見る。


「では。今回アリエル・フォン・アルバートとドラウド・フォン・ヘンドリックが決闘をした結果、アリエル・フォン・アルバートが勝利。その後、ドラウド・フォン・アルバートの父親であるゴラン・フォン・ヘンドリックが陛下に貴様には関係ないなどの発言をしたことから罰として決闘の条件である半分の財産の受け渡しとサシャ・フォン・ヴァーミリオンへの関係を絶つという条件を、財産の六割へと増額とする。これでよろしいですね?」


「はい」


「ぐッ...はい」


「では、後日財産の受け渡しをしてもらう。その受け渡しの仲介人としてクラウド・フォン・ヴァーミリオンも同席するように」


「はっ」


「以上で謁見を終了する」


その時、ドラウドとゴランが憎悪の視線をこちらに向けていたが見て見ぬふりをした。


◇ ◇ ◇


「よしッ、じゃあ帰るとするか!」


「あ、その前に教会に寄っていい?」


「ん、確かに王都に来るのは初めてだし教会に行ってみるか」


「ありがとう、父さん」


5分程馬車を走らせ教会に着くと、さっそく祈りを捧げる。すると...


「お、やっぱり来れた!」


「そんなテンションでここに来る人は、初めてですね」


「うん。ひさし、ぶ、り?あれ、おじいちゃんからすっごく綺麗な女性になってる!?」


「あらどうも、嬉しいわ♡けど勘違いしてるわ。私は、創造神じゃなくて精霊神ミレアよ」


「へー、って神様に名前あったんだ」


「もちろん、...もしかしてあのジジイ名乗ってない?」


「創造神とだけ」


「...あとでしっかり反省させなきゃね」


「(あ、これミリィさんと同じタイプの人だ)」


「失礼な、私はもうちょっとだけ優しいわよ?」


「やっぱり心読めるんですね!」


「そんなことより今日は話したい事があって私がきたの」


「話したいこと、ですか」


「あなたまだ精霊達と契約してないでしょ」


「はい。やっぱ最初は自分から鍛えたいな、と思って精霊には手を付けてませんでした」


「なるほどねぇ。でも精霊達を使うと何かと頼りになるから早めに契約しときなさい?」


「便利ですか。...分かりました、帰ったらやってみます」


『アリエルゥゥゥ!なんかわしの時と態度が違うぞい!!』


「.....帰っていいですかね」


「ええ、いいわよ。じゃ、また暇があったら祈りに来てね。また呼んであげる」


「ありがとうございます。絶対また、いのりに『話を聞かんかァァァ』うっさいわ!今ミレアさんと喋っとんねん!静かにせえや!」


と、言い終わった瞬間こっちに戻ってきた。...関西人じゃないのに関西弁が出てしまった。それより、あのジジイ次会ったら殴ったる。


◇ ◇ ◇


なんだかんだあって家に到着した。風呂も入って飯も食ってベッド・インした。


「あー、疲れたぁ。やっぱこういうの苦手だなぁ。...あっ、精霊のやつ忘れてた!いやまぁ明日でいっか。眠いし、寝よ」


その日は、いつもより寝付きが良かった。

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