第10話 お披露目会無双?①

「その汚らわしい手でサシャ様に触れるな」


どうしようかなぁ。小説とかでは、大体決闘になってボコボコにするんだけど...


「ねぇ、あなた今なんて言った?」


ゾワァ

その瞬間、周りの温度が2、3度下がったような気がした。


「え、あ、あのサ「なんて言ったのかって聞いてるの」う...サシャ様に触れるな、と...」


「その前よ」


「...汚らわしい手で触れる「なんで汚らわしいのかしら?」...その、どこの馬の骨とも知らないやつに麗しいサシャ様に触れるのが許せませんでした...」


「この方は、私の命を救ってくれた大恩人なの。知らないくせに知ったような口できかないで。不快よ」


わぁお、サシャってこんなえげつないこと言えるんだ...


「ぐ.....しかし!...ならば、貴様!この私と決闘しろ!勝ったなら今回のこと、水に流してやる!」


「ッ、あんたねぇ!「サシャ、大丈夫、落ち着いて」でも、エルくんが...」


「その決闘、受けて立とう。けどその前に、僕が負けて君が勝ったなら、僕はもうサシャに触れないし、顔も見せない。でも、僕が勝ったなら、君も同じことをしてもらう」


「ハッ、それでは足りないなッ」


「...は?」


「お前も貴族だろ?家の財産を賭けろ!んー...半分、半分の財産で手を打ってやる」


「...はあ、どこまでバカなんだ。その条件は、僕一人では決められない。父さんの承認をもらってくるよ」


「さっさとしろ、まあ、俺が勝つのは目に見えてるがな」


「...エルくん」


「大丈夫。心配しないで?」


「...うんッ、頑張ってね!」


ああ、さっきまであんなえげつない口撃をしてるとは思えないぐらい可愛いな。


◇ ◇ ◇


「半分を賭けろ!?そいつはバカなのか!?そうしたら相手の貴族の財政状況がわるくなるだろうが!」


「たしかに...これでは、相手の貴族が不憫だよ」


二人そろって気にするのそこ?...まぁ、万が一にも負ける気はしないけども...


「ま、あっちから売ってきた喧嘩だ。買う以外ないだろ?」


「なら僕は、審判と仲介人として動こうか」


「お金の心配は?」


「逆に潤うから気にしなくて大丈夫だ!」


「そんだけ堂々と喧嘩を売ってくるんだ。爵位もなかなかだろう。つまり...もらえる金も多いってことだね」


「.....聞きにこなくてよかったかもな」


◇ ◇ ◇


「逃げなかったんだな。まぁ、来たとしても負けるのは、確定しているがな」


「それじゃあ、仲介人として条件を確認するよ」


「...クラウドさん、そういえば母さん達がいないようですが」


「ああ、ミリィが来たらつい相手のことを殺っちゃうかもしれないからね」


「.....」


やっぱり敵に回したらダメな人だぁ...


「そろそろ始めようか。では、エルくんが勝った場合...えっと「ドラウドだ」ドラウドくんの家の財産半分の受け渡しと、今後一切サシャとの関わりをなくす。逆も同じということでいいかな?」


「はい」「かまわない」


「では...はじめッ」


その瞬間おれは、駆け出し間合いをつめる。


「(さあ、どうくる)」


様子見として左手で腹パンをかますが...


「はッ!ちょっとま──グベッ!!」


「.......え?」


エルの腹パンを受けたドラウドは、そのまま後ろに吹っ飛び、壁にぶつかった衝撃のせいなのか、殴られた痛みのせいなのか、そのまま倒れたドラウドは意識がとんでいた。


〜闘技場観戦席〜


「へぇ〜、あれがアルの子ども、たしか三男だったね」


「はい、アリエル・フォン・アルバート。固有スキルは【神気】ですね」


「アルから、この子はとんでもない才能を持っていて、まさに天才...いや、それすらも生ぬるい表現だって聞いたからね」


面白そうなものを見る目で見るのは、若くして賢王とよばれる程の実績を残してきたグランデ王国37代目国王、エステル・フォン・グランデと、玉座についたエステルを今の今までずっと側で仕えて支えてきた、グランデ王国の脳、宰相の地位につき公爵でもある、マルベル・フォン・コーストンである。


「まったく。毎度毎度、面白い子を連れてくるな、あの二人は...」


そう呟くと立ち上がり、部屋を出ていった。




────────────────────


お読みいただきありがとうございます。


ついに来週、試験がやって参ります。一切、とれる気がしません。どうしましょう。...まぁ、自業自得って話なんですけども。


次、更新するのも遅れるかもしれないです。それまで、気長に待っていただけたらと思います。


ぜひ、次の話もお楽しみ下さい!

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