第8話 王都到着

「終わったようだね。君たちよくがんばってくれた。そして君、どうも助けてくれてありがとう。感謝するよ。...ってアルベルトじゃないか!久しぶりだね。元気にしてた?」


「おぉ、クラウドじゃないか!まさか襲われているのがお前だったとはな!」


「ミリィ!久しぶりね!」


「ベルッ、ひっさしぶりー!たまには、手紙くらい寄越しなさいよね」


「えっと...父さん?」


「ああ、こいつはクラウドといってな。学生時代に仲のよかった友の一人だ。ちなみにヴァーミリオン公爵家当主をやっている」


いや、ちなみにの方が大事でしょ!?


「よろしくね〜。それにしても君強いんだね!ウチの娘が惚れるのも納得だよ」


「おっ、お父様!」


「あはは...」


「で、こっちのうるさそうなやつは、ミリィだ。学生時代によく絡んできた、友の一人だ。今は、クラウドの嫁だが嫁ぐ前は、ハザード侯爵家の侯爵令嬢だ」


「なっ、...エルと呼ばれてたわね。この、脳筋バカが親だといろいろ大変でしょ?何かあったら私に言いなさい、しっかりと反省させてあげるから」


と、言いながら禍々しいオーラを放ちながら父さんを睨みつける。


「は、はい!(この人は絶対敵にしちゃダメな人だ...)」


「ほら、サシャも挨拶して」


「ヴァ、ヴァーミリオン公爵家長女、サ、サシャ・フォン・ヴァーミリオンですッ、さ、先程は助けていただきありがとうございました」


「アルバート辺境伯家三男、アリエル・フォン・アルバートです。助けが間に合ってよかったです」


と、なるべく安心させるように笑顔で言ったら顔を赤くして俯いていた。


「ねぇ、アルベルト。あれわざとやってる?」


「いや、あれが素だ」


「ははっ、エルくんも罪な男だね!」


◇ ◇ ◇


あれから落ち着いたあとに、一緒に王都まで行くことになった。が.....


「えーっと、サシャ様?」


「サシャでいいわよ」


「じゃ、じゃあサシャさん「サ・シャ!」...サシャ、そっち側の席、空いてるけど...」


「こっち側がいいの!」


「.....(なんでこうなったッ!)」


それは10分程まえのことである。クラウドさんの「久しぶりに四人で話したいんだぁ。だから、サシャをよろしくねッ、エルくん!」というセリフを言い残し父さんたちのところへかけていったのだ。


「ア、アリエル様は、こ、こここ、こ、婚約者、などは、い、いる、の?」


「エルでいいよ、僕もサシャって呼ぶし。親しい人はみんなそう呼ぶから」


「親しい.......じゃ、じゃあエルくん」


「うん!で、婚約者だったよね。今のところはいないかな。三男だからあまり魅力的じゃないんだろうしね」


「そんな事ないッ!エルくんは三男かもしれないけどすごく魅力的だよッ!」


「あ、ありがとう...」


「ど、どういたしまして...」


.......気まずい。早く王都についてくれぇーーー!


「(あ、そういえば。大賢者、あんなところにオーガやその上位種がいるのは、...さすがにおかしいよね?)」


──そうですね。あの場所にいるのは、さすがに不自然すぎます。人為的にやったと見た方が自然かと──


「(人為的、ねぇ。公爵家を狙ったのか、あるいは偶然か...)」


「嫌な予感がするな」


「?どうしたの、エルくん」


「いや、なんでもないよ。早く王都が見たいなー!」


「そうね!」


〜2日後〜


「エルくん、見えてきたよッ!」


「うわぁ、すっごいな!」


アルバート領を出発して7日目にしてようやく見えてきた王都の規模に驚きを隠せないでいた。


「外壁だけでこの大きさ.....やっぱり王都はレベルが違うな」


「さっきの魔物たちの何倍も大きいよエルくんッ!」


「うん、そうだね。中はどうなってるんだろ、気になるなー」


「きっと中もすごいよッ!」


この王都の外壁は、高さが40メートルほどで城を中心に囲うような形になっている。城門は、東西南北に大きめの門が一つずつ設置しており、小さめの門が大きな門と門のあいだに二つずつ設置されている。王都の中心エリアは、貴族街となっており貴族の屋敷や豪商の屋敷などであふれている。そして、この王都の中心にある城こそ、グランデ王国の象徴、グランデ城である。今回、王都に訪れた目的でもあるお披露目会もこのグランデ城で行われる。


「次の方々、身分証の提示をして頂きたい」


と、門番から声をかけられると、父さんとクラウドさんが門番に貴族の紋章を見せる。その紋章に驚きながらも通してくれた。


「(そりゃ、公爵家と辺境伯家の紋章を同時に見せられたら驚くよな)」


その後は、王都の街を横目に楽しみながらサシャたちといったん別れ、王都にあるアルバート辺境伯家所有の屋敷に向かう。


「「「「「おかえりなさいませ」」」」」


家に入ると執事やメイドたちが出迎えてくれた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る