第7話 テンプレ再来
「エル様、当主様がお呼びです」
「うん分かった。今行くよ」
あれから二週間経った。
この二週間、ほとんど神気の扱い方の練習や実験、実戦での組み込み方を徹底的に研究していた。幸い、初日で神気操作のレベルがマックスまでいったからいろいろやりやすかった。
コンコン、とノックするとドアの中から「入ってこい」と聞こえてきた。
「失礼します。父さん、何かご用ですか?」
「ああ、先程王城から手紙が届いた」
「手紙?……あ、もしかして……」
「そのもしかしてだ。明日、王都に向かう。準備をしておきなさい」
「はぁー、ついにやってきたかぁ。何もなければいいんですが」
「ハッハッハッ、もし何かあったとしてもやり返してやればいいだけだ! しっかり恥をかかせてやれ!」
「はぁ、だから行きたくなかった……、お披露目会なんて」
◇ ◇ ◇
「よし、準備できたな。ではそろそろ出発するぞ。馬車をだせ」
父さんの掛け声で馬車が動き出す。
今回、王都に向かうのは、俺、父さん、母さん、護衛数人に馬を操作する御者だ。正直、護衛の騎士たちがいなくてもこの馬車には冒険者最強の称号をもらっている、二人のS1ランクの冒険者がいるのでいらないと思うが、貴族として護衛がいないというのは、貴族の品格に関わってくるのでつけないわけにはいかないそうだ。
「父さん、そういえば王都までは何日ぐらいかかるの?」
「そうだな、王国の辺境にいるからかなりの日数はかかるが、だいたい一週間ほどか」
「そんなにするの!? ……結構つらいなぁ」
「あら? 寝る時は、私のももをつかってもいいのよ?」
「母さん、僕はそこまで子供じゃないよ!」
「まぁ途中通る道でまちなどに泊まっていくがな。教えておくがまちに金を落としていくのも貴族の務めの一つだ。覚えておけよ。」
「はーい」
あの領地は辺境なんだ、そのぐらいかかるのは当然か。けど他の町かー、楽しみだな!
「うふふっ、エルにとって他の町に行くのは、初めてのことだものね。でも、興奮して迷子にならないようにしなさいね?」
「あれ、顔にでてた?」
「ええ、目がキラキラしてたわ!」
「ははっ、そういうところは、まだまだ子供だな」
〜5日後〜
「あー、あと少しだー!」
あれから5日が経過した。
「(いやー、町についてから何事もなくてよかったー。途中で何回か魔物に遭遇したけど護衛の騎士たちだけで十分だったし、いまのところ何事もなくすすんでる)」
と思っていたが……。
「今の完全フラグだったな」
「ん? どうしたエル」
「いえ、気配感知で5キロ先に魔物に襲われている人たちが引っかかったので……」
「なにッ!なら助力にいかねば...」
「父さん、僕が行ってきてもいいかな?」
「なにを言ってる!だめに「お願いしますッ」……はぁ、まぁお前の強さは私たちが一番知っている。何があっても大丈夫だろうが……仕方ない。あとで急いで合流する」
「ありがとうございますッ!」
その瞬間、馬車を飛び出し音を置き去りにするほどのスピードでかけ出す。そして、しばらく走っていると魔物たちに襲われている人達が見えてきた。
「スキル【並列思考】【高速思考】【瞬時理解】」
一気にいろんな情報が頭の中で整理されていく。人数は馬車の中に三人、そとで交戦している人が五人、御者が一人。魔物の数は全部で十五。一匹周りのやつより強いやつがいるな。リーダーってところか。外で戦ってる五人、押されてる……、よし、いくぞッ!
一気に加速する。
「加勢しますッ」
グガァァァァッ
アイテムボックスからだした剣で横に一閃。
「なッ」
半分のオーガを一太刀で仕留めたことに驚きをかくせない五人はぼーっと突っ立っている。
「危ない!」
「はっ、くっ不意打ちでヤレると思ったら、大間違いだぁぁぁ!」
一気に現実に戻された五人は、強力な助っ人の登場で気力を戻した。残りのオーガをどんどん狩っていき、最後の一匹となる。
「さて、あとはお前だけだ」
というと、自身の大きさと同じほどの大剣を軽々持ち上げ、構える。
「(逃げるという選択肢は、……ない、みたいだな。大賢者、あいつの強さ、どんくらいだ?)」
そう聞くと頭の中に。
──ギルドの指定ランクを基準にすると、大体Aランク程の強さです──
と流れる。
この大賢者というのは、スキルの【アシストサポーター】の進化系という感じで、使い続けていたら熟練度がどうたらみたいなかんじで進化したのだ。今は【大賢者】となっていて、なにが違うのかといえば、スキルに"意思"があるのだ。
まあ今は、それより目の前のあいてだな。
「悪いけど...なにもやらせるつもり、ないから──── 神進歩法」
神進歩法。
それは、エルが自分を鍛えていた時に思いつき体得しようとして出来なかった必殺技だ。が、新しく得た【神気】を使うことで完璧に自分のものした歩法の究極型である。
ゴトッ……一瞬で裏にまわったエルは、綺麗な首チョンパをお見舞いしてやった。
「おいおい、今何しやがった……」「いつの間にか首が斬られてたぞ!?」「すごい……」
「とりあえずこれで終わりですね」
「お、おう、そうだクッ、……ッテテー派手にやられたな」
「あ、ちょっと待って下さい。回復します。『エリアハイヒール』」
「……はっ、何でもありかよ」
「回復まで……君、ありがとう。今回の護衛のリーダーを任されたベイルだ。何か礼がしたい」
「いえいえ、人が困っていたら助けるのは、 当然です。自己紹介が遅れましたね。アルバート辺境伯家三男、アリエル・フォン・アルバートです。今回は、王城から招待を受けましたので王都に向かっている途中にあなた方を見つけたのでここまで加勢に来た次第です」
「「「「「……」」」」」
「? 皆さん、どうかされました?」
「きっ貴族様でしたか! これは失礼を」
ガラガラガラ……
「おーい、エルー無事かー!!」
馬車が到着し、父さんと母さんがおりてくる。
「エルッ、怪我はない? 大丈夫?」
「エル、無事のようだな」
「はい、大丈夫です。襲われていた人達も全員無事です」
ガチャッ
今度は、もう片方の馬車からおりてきた。
若々しい男の人と気が強そうな女の人、同い年程の少女もいた。
────────────────────
どうも、初めて有言実行してみせて、ちょっとドヤってる作者です。はい。
今回の話で「」のセリフのところの最後に。をつけないようにしました。参考にするためにいろんな作品を見てるんですけど(とか言ってるけどただ見たいだけ)なんか違和感あるな、と思って見てたけど。がないことに気づきました!
初心者だからこういうところとか気づけなかったり、文がおかしかったりするので、もしお気づきになったら感想のところに書いてくれたら嬉しいです!
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