第4話 11月21日

「おはよう。朝ご飯食べる?」

「あ……うん…………」

 今日も10時過ぎに目を覚ました。

 休みを期にそろそろ生活バランスも直しておかなければ、結局だらしないまま時間が過ぎてしまう。自分に危機感を抱きながら、親からの朝飯の電話で炬燵こたつから抜け出した。

 結局やる事は変わらない。

 ゲームをして掲示板を見て、気が向いたら勉強するだけの生活。

 しかし今日は土曜日。重賞はないが、競馬がテレビでやってるので見る。

 現在はテスト期間の気分から一気に状況が変わってしまったが、勉強時間が増える時期には、競馬の前に勉強のキリをつけられる様な予定の組み方をしていたものだ。

 午前、昼から競馬の時間まで、競馬の後から日没辺りまで、日没以降の4つに分けて、自分の勉強のペースを確認していた。まぁほとんど午前はやらないから丸ごと1つずれるんだけども。

 一方でここ数日はそういうものがないので、本当に勉強は気が向いたらになってる。同じ学校の人との意識の差に対する、このままでは駄目だという危機感を、何とかして実行に繋げていきたいのだが……


 〜〜


 競馬より前の時間帯の話になるが、遂に検査キットが来た。

 容器に唾液を溜めて提出するタイプのものだった。

 方法としては、採取前の飲食やうがいを避けた上で、口の中に唾液を溜める。因みに、顎下腺がっかせん耳下腺じかせんの辺りをマッサージすると溜まりやすいそうだ。そして、溜まったら口をすぼめて容器に吐き出す。実際に入れてみると、案外多く溜めないといけなかった。自分の場合は何度かかかって大変だった。そして、ある目盛りまで溜まったらキャップをしておしまい。保健所へ提出して、結果を待つのみだ。

 実は、部活の人で学校から家が遠い人(因みに自分は、わざわざ自転車を取り出して乗って駐輪場に止めるより、走って向かった方が早い程に学校と家が近い)は、まだこの検査キットが届いてないらしい。

 市をまたいで来ており、自分の所と比べると人口もそこまで多くない地域なせいで、そういった対処が遅いのかもしれない。

 自分の大袈裟おおげさな邪推でしかないが、地域によって医療面での格差が大きいのではないかと思う。都市部で病床や医療従事者が不足している、だから都市部に人を集めるべき、という意見を聞いた事があるが、その問題は郊外や田舎でも変わらないのではないだろうか。

 かく、現状に関しては都市も田舎も大変な事に変わりはない。その中でどうやって対処していくか。それは、頼り過ぎない事だと思う。

 偉そうな事を話すが、そうやって他の何かにすがっていては、この問題は解決しない。誰かが補える余裕を持っていて、初めてその誰かに頼れるのだ。そしてその余裕を作るためにも、個人個人が最低限の、可能ならそれ以上に意識を高めて、感染を少しでも抑える必要があると思う。だから、一人一人が意識を持ち、地域は地域で何とか出来るように、そしていざとなったときに助け合える形を作れたら理想なのではないか。


 〜〜


 さて、夜になっても生活は変わらず、立っている、床に座る、寝転がるの動き位しかしてない。携帯は結局9時間と前日より少し減ったものの、かなり長い時間掲示板を見続けているので、少し目も休ませるべきだと思いながらも、深夜に電気を消して、床で眠りについた。

 因みに枕が来たので少しは寝心地が良くなった。

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