Mission05: 単機での奮戦
「クレイトン基地!? それは帝国機の侵攻ルート上にある基地では……」
叫んだのはアドレーネである。
ゼルゲイドとアドレーネの会話は、的中してしまっていた。
さらにMは続ける。
『む、この情報が届いたということはやはり……。プロメテウス隊や護衛機2機を補給に向かわせて正解でしたな』
ゼルゲイドとアドレーネは、嫌な予感を覚える。
『ゼルゲイド様、申し訳ございません。数分間、単機での護衛を頼むことになります。たった今、レーダー上に敵艦隊を捉えました』
敵の増援である。
ゲルゼリアだけならシュヴァルリト・グランを格納して戦えたが、ポートダックの護衛を優先する以上
「早めに逃げときゃよかったか?」
「ゼルゲイド様、あの艦の速度はそこまで早いものではないと思われます。多少早く動いていたところで、同じ結果を迎えていたでしょう。それに」
アドレーネはシュヴァルリト・グランのレーダーを見ながら、淡々と告げる。
「この速度で移動する存在。敵の先遣隊……
艦から発艦した多数の
「では、補給が完了するまでは俺たちだけで踏ん張りましょう」
ゼルゲイドはそう言うと、シュヴァルリト・グランの両肩に搭載しているビームライフルを展開する。距離のあるうちは射撃に徹し、近づいた敵機に接近戦を挑む腹づもりだ。
音速の何倍もの速度で接近する敵のリクシアス。
ゼルゲイドは機体のモニターに意識を集中し、ロックオンと同時に操縦桿の引き金を引いた。
放たれた破壊の光は狙い違わず、正確にリクシアスの頭部をぶち抜く。視界を失っては飛行できたものではなく、泡を食って減速しだしたところにもう一撃だ。胸部に大穴が空いたリクシアスは、なすすべなく墜落していった。
だが後続は何十機と存在する。たかが1機撃墜した程度では、襲撃は止まらなかった。
「どれだけ来やがる……!」
ぼやきつつも引き金を引き続けるゼルゲイドだが、先ほどの1機が撃墜されたのを見た敵のリクシアスたちは分散行動をとり始めたのだ。
まれに流れ弾が命中し撃墜に至ることもあるが、ゲルゼリア及びポートダックとの距離は、着実に詰められつつあったのである。
「まずいな……!」
「ゼルゲイド様、そろそろ接近戦の備えを」
「やむを得ません!」
ゼルゲイドは両肩のビームライフルを下げないまま、敵のリクシアスとの距離を詰めながら撃ち続ける。動きながらという不安定な態勢であるが、最初の数機は撃墜に至った。
しかし1機1機をちまちま追い回すよう攻撃するには、やはり限界がある。ビームライフルを外して仕留めきれなかったリクシアスも現れだした。
「そろそろまずいな!」
ゼルゲイドはビームライフルを下げ、純粋な接近戦のみに頼る。
1機にかかずらわっている間に他の敵機から攻撃される危険性があったので、ポートダックに近いリクシアスから優先して撃破する方針を固めた。
アサルトライフルを装備していたリクシアスにとって、シュヴァルリト・グランの急な接近には対応しきれないものだった。
慌ててナイフを抜くも、それよりも先にシュヴァルリト・グランの大剣が振り抜かれる。
ゼルゲイドは爆散するリクシアスには目もくれず、次に襲ってくるリクシアスを見る。
あらかじめビームライフルを撃ち込んでいた影響で編隊は崩れていたものの、それでも立て直す余裕は十分あり、現に今迫っているリクシアスは編隊を組んでいた。
「まずいな、突っ込んでかき乱すか……?」
ゼルゲイドは一瞬、ためらってしまう。
その隙を突かれ、リクシアスにポートダックへの攻撃を許してしまった。
「しまった……!? くっ、間に合え!」
被弾を承知で、ゼルゲイドはシュヴァルリト・グランを駆り立てる。
左肩に装備していた盾状の追加装甲が、放たれた砲弾を弾き飛ばした。
だがポートダックに接近していたリクシアスは、1機だけではない。編隊を組んでいた機体は一斉に、射撃を始める。
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