第23話 おまけ小話:深夜テンション
【※22話に入りきらなかったシーンです】
「ところで気になっていたんですが、どっちがおにいちゃんとキスしたんですか?」
ユリアの発言にさっきまであれだけ盛り上がっていた場の空気が凍った。
「キス? りょー君、なんのこと?」
俺に聞くのかよっ!
「いや、あの……。えーっとだな」
「おにいちゃんはスキルを発動するために女の人とキスする必要があるんです。お二人を助けるためにおにいちゃんがスキルを使ったと聞いたので、どちらとキスをしたのかなーと思いまして」
「へぇー…………」
気づけば杏璃の瞳からハイライトが消えていた。
「ねえ、みなちゃん。みなちゃんは知ってたの?」
「えっ? あ、えーっと。まあ、はい」
「ふぅーん。そうなんだぁ」
「あ、杏璃? そんなじろじろ見られると恥ずかしいんだけど……」
じぃーっと見つめられた皆月がこっちに助けを求める視線を向けてくる。
いや、どう助けりゃいいんだよ……。
「みなちゃん」
「は、はい!」
「りょー君とのキス、気持ちよかった?」
「なっ――⁉」
杏璃からの質問に皆月はかーっと顔を赤く上気させる。
気持ちいいかって、お前なぁ……。
「そ、そんなこと考えてる余裕なかったわよ! と、突然のことだったし、いろいろいっぱいいっぱいだったし……」
「へぇー。りょー君はどうだったの?」
「俺の方がそれどころじゃねぇって状態だったからな……」
右の肺を刀が貫通していたんだ。飛びそうになる意識を繋ぎとめるので精いっぱいで、皆月の唇の感触なんてめちゃくちゃ覚えている。
現金なもので意外と忘れねぇものらしい。
ユリアもそうだったが、女子の唇ってなんであんなに柔らかいんだろう……。
「そっかぁ。ふぅーん」
「あ、杏璃……?」
「みなちゃんだけズルい! 私もりょー君とキスしてみたい!」
「なんでそうなるんだよっ⁉」
おもむろに立ち上がって俺に飛びついてきた杏璃は、強引に唇を奪おうと顔を近づけてくる。
「お、落ち着け杏璃! 正気に戻れ!」
「やだやだキスしたいキスしたい!」
「子供か! やめろって、スキル発動しちまうだろ⁉」
こんなことでスキル発動させてその後3時間も動けなくなるなんて馬鹿らしいにも程がある!
「助けてくれ、皆月! ユリア!」
「……いやまあ、どんな形であれキスしちゃった以上あたしからは何も言えないし」
「おにいちゃん、男を見せる時です……!」
「そんな殺生な――」
「隙ありっ!」
「んぐっ⁉」
――スキル〈異性とキスしたら3分間だけ無敵になる〉を発動。
――以下の効果を取得します。
【HP常時全回復】
【HP無限】
【MP常時全回復】
【MP無限】
【全ステータス限界突破】
【全ステータスカンスト】
【物理攻撃無効】
【魔術攻撃無効】
【全状態異常回復】
【全状態異常無効】
【即死無効】
【全取得可能スキル開放】
【全取得可能魔術開放】
――スキル効果持続時間174秒。
「ぷはっ。うーん……、キスって不思議な感じだね」
「……もうどうにでもなれ」
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