第39話 そして、ばたばたと過ごした一月は

 卑猥な表現があります。見る人が見るとR18?!

 なろうでは警告された後、削除されました。どこが……?! どの部分がという指摘がないため、たぶん、ここだろうと想像でしかないんですが……。

 そういうことで、苦手な方は、スルーをお願いします。

 

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 そして、ばたばたと過ごした一月は、あっと言う間に過ぎ、いよいよ今日の放課後、節分祭、すなわち坤鬼との決戦を迎える。

 放課後、準備された舞台には、招待した年男年女が上がり、その中には本校出身の今を時めくアイドルたちも当然いた。

 一覇の掛け声で豆まきが始まる。

 そして、用意した豆袋、中には豆だけでなく、貴金属や旅行券などが入っているのだが、それらもおおむね撒き終わろうとしていた。

 このまま、なにも起こらなければいいが……。

 しかし、俺は二、三日前から、決して見てはいけないものを見てしまった気まずさ。いや、再起不能になるどうしようもない罪悪感に悩まされ、背中に冷たい汗を搔いているのだ。


 しかし、望みとは裏腹に、不穏な空気がどんどんこの貴都学園に流れ込み蔓延し出したのを感じている。でもこの感覚、今までと全く違う感覚なのだ。

 そして、気が付くと、体育館の天井にわずかな時空の裂け目が浮かび上がっている。

 その裂け目は時間が経っても、それ以上大きくなることもなく、なんの動きも見せない。

 俺は気合を入れて、次に起こるだろうことに万全の準備をしている。そして、一覇も時空の裂け目を何度も消そうと、場の空気を作っているようであるが、時空の裂け目は消えることはない。あの時空の裂け目は一覇のレベルを上回っているということだ。

 そうやって、精神をすり減らしている時間が過ぎて行くのだが、実は辰鬼(しんき)や巳鬼(しき)の侵攻はすでに始まっていた。


 舞台に立っていたアイドルから突然上がる淫靡な喘ぎ声、その声を合図に裂け目から、一気に卑猥な空気が吹き出し、その空気は淫靡な粘度で体中に纏わり付いてくる。

 まるで、ソープランドのローションのような触れ心地だ。

 いや、俺はソープランドに行ったことは無いんだが、その触れた感触はまさに女性の柔肌、いつまでも触れていたい気持ちにさせられる。

 もはや、脳まで空気に犯されているようで、その感覚は普段の(なにをしている時の?)数十倍の気持ちよさで性感帯を刺激される。

 そして気が付けば、粘性を持ったローションはいつの間にか触手に変わって、俺の身体をまさぐっているのだ。

 いや、よく見ると、その触手は蛇であり龍であり、俺の目ん玉を舐めあげ、口の中に入り込み俺の舌を絡め取る。

 頭では、振り切ろうとしても、快感に支配された体がいう事を聞かない。抵抗もできずに、辰鬼や巳鬼に犯され尽くす。

 恥かしさと屈辱に、頭の神経が焼き切れそうだ。これが九鬼神が言っていた心が死ぬという事か……。

 まわりも生徒たちも、同じような状態になっている。服をはぎ取られ、又は自ら脱ぎ捨て、すでに全裸になっている女性アイドルは、舞台の上で、辰鬼や巳鬼に何度もいかされ、瞳は、瞳孔が開き、半開きの口からは涎を垂らし、腰は何度もけいれんを起こして、ガクガクと震えている。

 そして、その状態は一覇や茜そして麗奈会計も一緒だった。レベル無視と言われた坤鬼のスキル、淫夢。

 その快感に抗おうとするが、すでに一覇や茜それに意外に検討しているは麗奈も、素肌を晒し、抵抗むなしく最後の一枚も、快感で自ら脱ぎ捨てるのも時間の問題に思われた。

そして、時空の裂け目はさらに大きくなり、その中からアマゾネスのような黄金の髪に燃えるような赤い瞳、高級コールガールのような坤鬼が姿を現した。

 坤鬼って女だったのか? それにしてもいい女だ。快楽に持っていかれそうな頭で考えてしまう。


「ふふふっ、まだ、私の淫夢に溺れていない者がいるなんて、辰鬼、巳鬼、やってしまいなさい」

 麗奈の最後の一枚がはぎ取られ、股間に触手が殺到するところで、俺の視点は一覇と茜に切り替わる。

 悪い! ヒーローお約束第一七か条だ。モブキャラの全裸は一瞬で、まだ最後の一枚を死守している主役の濡れ場に切り替わる。

 しかし、個人的な視点で見た場合には、必ずしも主人公が主役という訳ではないらしい。

「このやろう!!」

 唸(どな)り声を上げたのは副会長の真治。いつの間にか麗奈の傍に駆けより、抱きかかえ、触手から逃れようと抵抗するのだ。

 一瞬、あっけにとられた坤鬼。

 その一瞬で、我を取り戻した俺と一覇。

「ヒロイック・フィールド展開! ヒロインは、あと一枚というところで、必ず助けが来るのよ!!」

「その助けは、意外な人物であることが多いんだ!!」

 ヒーローお約束、第一七条を俺も一覇に続いて大声で叫ぶ。

 そう、卑猥な空気が一気に正常化する。

「この触手どもが、女の敵は消え去らせ!!!」

 一覇が吠えるように叫ぶ。叫んだ一覇の髪は銀色に輝いていた。

 触手と化していた辰鬼や巳鬼が、霧散して消えていく。

 どうやら、怒りで自らレベルアップして、禁忌と言われていた即死系の空気を膨れ上がらせ、体育館の中に爆発させたようだ。

 なるほど、銀髪になるとはこういう事なのか。


「ほれ、斬鬼丸だ」

 後ろから突然、声を掛けられた。振り返れば、普通の状態で九鬼神が立っている。

「なんで、お前は平気なんだ?」

 斬鬼丸を受け取りながら九鬼神に訊ねた。

「息を止めておったんじゃ。レベルが上がれば、五分や一〇分ぐらいは息を止められるからのう」

「息を止めるだけで、淫夢の影響を受けないのか? なんで最初に教えてくれないんだ?」

「だって、面白そうじゃったし、そういうサービスシーンも必要じゃろ」

「くそ、面白がりやがって、子どもがいらない気を回すんじゃねえ!」

俺は、その言葉を返す時間さえ惜しんで、息を止めて坤鬼に肉薄する。坤鬼の周りには、ピンク色の濃密な甘い空気が漂っている。

 その空気に向かって斬鬼丸を振り下ろす。しかし、斬鬼丸はピンクの濃厚な空気に阻まれ、止められる。

「どうじゃ、我が淫魔の結界。斬鬼丸でさえ通すことは出来ん」

 俺は、突き刺さった斬鬼丸を押すことも引くこともできずに、焦りを感じている。まるで、ローションいやスライムだ。このまま俺の息が続かなかったら……。

 ピンクのスライムが斬鬼丸を包み込み、さらにそのスライムが俺に向かって、アメーバの捕食のように伸びて来る。

「ふふっ、私の嫌いな理性を焼き尽くし、卑猥の限りを尽くしなさい」

 妖艶な笑みを浮かべ、勝ち誇ったような声が俺の耳元に届く。

 ヒーローが卑猥の限りを尽くす? それは、さすがに今迄にないヒーロー像だ。もし、そんなことになったら、子どもたちに顔向けができない。最低のヒーローとして末代まで語り継がれることだろう。

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