第2話

今朝のことだった。

いつも通り小夜がわたしを起こしに来て、わたしは寝ぼけながらパジャマを脱いでいた。

すると、頭の上にもくもくと雲が出るようにわたしの気持ちが膨らんだ。

学校、行きたくないなあ。

小夜の作ったおいしい野菜スープを飲んでも、大好きなハムエッグを食べても、テレビの占いでわたしの誕生月が『今日のラッキーさん』でも、新しい靴が玄関で顔を揃えていても、その気持ちは消えなかった。

「ねぇ、小夜?」

「んー?」

「今日、学校休んじゃだめかな…?」

小夜の目をじっと見つめる。

小夜は、とても綺麗な顔をしている。

髪とか、肌は色が薄くて、まつげが長い。首や腰は細いのに、肩や腕、手はごつごつしていて、ちゃんと男の子なんだなあと思う。

そのことを前にるりちゃんに言うと、「そうなの!小夜くんはね、とても穏やかで素敵なの。あ、でも怒るとすごく怖いのよ」と嬉しそうに教えてくれた。

「いいよ」

「…えっ?」

わたしはすっかり小夜に見とれていた。

「学校休んでいいよ」

「本当?」

「うん」

「でも、わたしのママやパパならきっとだめって言うよ?」

小夜は少し困ったように笑った。

「僕は、夏帆かほのママでも、パパでもないんだ」

「…知ってる」

わたしからお願いしたのに、なんだか変な気がした。

それでも、今日一日をお家で過ごせることが嬉しくて、わたしは二回ジャンプした。

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