春と風

終電

第1話

カーテンが揺れている。

春の風は優しくて好きだ。

「…そんなところで昼寝したら、風邪をひくよ」

小夜さよが、床に寝っ転がって寝ているわたしの元へ来る。

頭を撫でる手が、ひんやりしていて気持ちいい。

「大丈夫だよ。もう春だもん」

小夜が「そっか」と言い、風が吹くように微笑む。

優しくて、あたたかい春の日だった。

わたしは小学校をお休みしているのに、ちっとも悪いことをした気がしない。むしろ、こんなぽかぽかした素敵な日に学校で授業を受けている子たちは少しおばかさんだと思う。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る