第4話 名無し
彼の名前はもうない。
自分のした不貞行為について謝罪の言葉はなかった。
娘だったらしい人に、服ごしでペニスをお尻にあてる行為や胸に触る行為をしたとしても、それについて謝罪を求められても
「悪かったね…。」
というのが精々で、態度も悪い。
仕事の内容を聞いても睨みつけて娘の就職の心配もしてくれない態度の悪さに
「暴力団なの?」
と聞いても返事さえしない。
それでいて自分は生活費を賄っているんだという態度で態度を悪くする。
娘が学校で苦労したのも就職に困ったのも手を貸さず心配もしない。
変な団体に騙され身に危険が及んだと娘が訴えても無視する。
つまりは彼は自分の趣味に生きるという人生を、娘を無視して貫いた。
だからもう娘は彼の身分も名前も忘れた。
彼には呼ばれる名前はない。
やがて屍となる日を迎えるだけなのだ。
母はそうした彼に一生添い遂げるつもりでいる。
同じく名前は消え失せるだろう。
それは因果。
自分が与えし事は自分のものとなって返ってくる。
それだけのこと。
娘の行方は知らない。
幾重の夢を通り抜けその先で待つ。
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