エピソードTWENTEE

「寄るな!」



「人でなし」



母さん・・・父さん・・・私は・・・。





目が覚めると、知らない場所にいた。



「起きましたか・・・おはようございますイトナさん」



目の前には生徒会長がいる。




「ここ・・・」


まだ少し寝ぼけてはいるが、微かに目を開けて周りを見渡す。




「ここはとあるシェルターの中です。イトナさんたらぐっすり眠っていらしているもので、起こすのためらったんですよ?」



シェルター・・・?でも私、確か学校にいたような。







「あ。思い出した」




今までの流れを悟り、生徒会長から後ずさりする。



「そんなに逃げなくても、大人しくしていれば何もしませんからね。僕だって暴れる人を捕まえるなんて趣味、ないですしw」



見た感じ、言っている通り何もされないとは思うが、ジョセフの言っていたことを考えると少し気が引ける。







「お話って、なんですか」



「あ〜、その事なんですけどね」



生徒会長は話し始める。




「プライベートで僕は、俳優でありスターである。だから本当なら、学校の雑務を担当なんてする事ないんです。だってそうでしょう。名高い俳優やスターが社畜としてせっせかと働いている姿なんて、そうそう見ないでしょう。だけど、僕はやるんです。オマケに生徒会長にまでなってやった・・・ありえますか!?w」




よく出来たおぼっちゃま自慢なのだろうか。





「だから今まで、この学校の人達の大概は僕に反抗する事なんてありませんでしたし、僕も手を出したりなんて一切ありませんでした。しかし・・・あいつが来て変わったんです・・・」



アイツ?誰だろう。




「アイツは僕の心をかき乱すのが上手でした・・・僕もそんな生意気なアイツを悪くは思ってもいませんでした。でも・・・日に日にエスカレートしていくアイツの嫌そうな顔、日に日に独りぼっちになっていくアイツの姿・・・そんなものを目にするようになって、僕自身も変わったんです・・・」




確かに、憎みたいけど嫌なほど憎めないやつはいる。そいつが嫌なほど愛おしくなる時だってある。




生徒会長はうつむいた。




「僕自身が・・・僕自身の手で・・・、消してしまった・・・」




生徒会長の頬を伝う光る何かが、かすかに見えた。



私はどう言ったらいいのかわからず、生徒会長をただ見つめるしかなかった。







「え、話したかったのってそれだけですか?」



いくら経っても生徒会長が顔をあげないものだから、いてもたっていられない。



生徒会長は少し頷く。




「・・・その人と私ってなにか接点があるのでしょうか?あまり関係ないのなら、ここに私を連れてくる必要性はなかったのでは・・・」




「接点・・・というか、似ている部分かな・・・。僕にお茶をと誘われた時、嫌がりましたよね。というか、お友達を優先されました。その行動って、なかなか出来ないでしょう。相手は生徒会長。普通は断れないはず。でもあなたは、お友達を・・・本当、アイツにそっくりです」




その時の生徒会長の顔は、とても優しかった。





「人を分け隔てなく大切にする所や、大切な人のためならばすぐに動いてしまうところ。2人とも・・・僕のツボをついてきます・・・」




ニコニコと笑う生徒会長。少し怖い。




そんなことのためだけに私は誘拐されたのか?






「もっと他に話したいことがあったのでは無いですか?誘拐するほど話したいことって、そんなことじゃないと思いますけど」





すると生徒会長は、笑うのをやめて私を見つめた。




「誘拐!?これは失敬。誘拐しているつもりはありませんでした。なんせお話をしていただきたくて」




生徒会長は焦った様子を一切見せなかった。そんな容姿で、そんな事言われても・・・と思いつつ、早く返してくれということを伝えた。






「まあまあ。そう焦らないでください。時期に帰れますよ・・・ま、あなた次第ですけど」




そういうと生徒会長は、近くにあった椅子に腰掛けて足を組んだ。



















ここからが本当の戦いだった・・・

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