エピソードNIGHTEEN ー 生徒会長

「生徒会長、これを頼む。みんなに運んでやってくれ」



「わかりました先生」



「生徒会長、あの子を助けてやってくれ」



「わかりました」



「ありがとうな!さすが生徒会長!」



「いえいえ。当たり前です」



先生達は、僕が働くと優秀だと言って喜んだ。はぁ・・・なんといい世界なんだ。成績がいいと褒められる、挨拶ができると褒められる、優しければ褒めれる、イケメンだと褒められる・・・何をやっても僕は全て当てはまるじゃないか!



僕ほどハイスペックで素晴らしい人材はいないだろう。




そう思っていた・・・のに。






「初めまして。ノーラです」



転校生と言われる女が入ってきた。



ノーラはたった一日でこの学校の有名人になった。優しくて可愛くて、なおかつ頭もいい。仕事はもちろん、モデル。





「初めましてノーラ。僕は生徒会長を務めます、アートです。分からないことがあったら、なんでも聞いてくださいね」



優しく笑いかけてやった。転校生を心配して優しくする。まさに素晴らしい男だ!



しかし、ノーラはそうはいかなかった。








「それ、作り笑いですか。気持ち悪いですよ。ナルシストって感じがいかにも見えてます」




僕はこの時、初めて怒りという感情を表へ出しそうになった。



僕に・・・そんなことを言う?この完璧男に、文句?



不思議でたまらなかった。






「有名の座を奪われた・・・なんて思ってませんか?残念ですが、あなたは元々有名じゃあないので、お気になさることもありませんよ」



僕に煽りを?




僕はその日、ノーラの事をずっと考えていた。あんなに僕の事をけなしたのは、彼女が初めてだった。





僕はノーラに興味を持った。僕に反抗し、敵対視してくるのは彼女だけ。それだけ僕のことが気になるのか・・・まあ、僕がイケメンで頭が良くてスタイルも良くてもてはやされているから、仕方ないか・・・。



そんなことを考えて、ノーラと接していた。




ある日。クラス中がノーラを避けるようになった。あ、別に僕が何かしたとか、そんなことではない。




ただ、ここまで言っていてわかるかもしれないが、おそらく性格が問題なのだろう。




ノーラは、女子の中でもひいでるほど美しく、清らしくあった。見た目は文句ないほど。しかし、接してみてわかる通り性格が気に入られない。人と接するのはそれはとても困難であろう。





僕は、それを逆手にとった。・・・とってしまったんだ。











「いい気味ですねぇ・・・僕を侮辱するからでは?」


通りかかったノーラに煽りを入れた。ノーラは下を向く。



「どうしたんですか。言い返さないんですか・・・」



ノーラが顔を上げたかと思うと、僕を睨んだ。



「なんですかその目は・・・僕に威嚇でもしているのでしょうか。そうだったら残念です。せっかくのお化粧が崩れますよ」




ノーラは睨むのをやめない。煽ったところで何も変わらない・・・か。




「人でなし」


ノーラの言った一言で、僕は心の中の何かがプツンときれた。









そして僕は・・・ノーラを・・・退学に・・・。





違う。僕じゃない。僕が悪いんじゃない。ノーラが・・・ノーラが勝手に。そうだ。僕は何も悪くない。悪いことなんかしていない。









ノーラが消えてから、毎日自問自答する日々だった。そんな日々が、あいつが来てから変わった。




女は、イトナと言った。僕はいつもの様に挨拶をしてあげた。そしたら嬉しいほどに、笑顔で返事をしてくれた。そんなイトナが、僕はたまらなく愛おしかった。




しかし、とある男子生徒はイトナを気に入らないようだった。



だから僕は、指示を与えた。





「みんなで無視して、僕の所に誘導してくれ」



気持ち良いくらいに言うことを聞いてくれた。




僕は別に、意地悪をしたかったわけじゃない。ただ・・・お話がしてみたかっただけ。なのに彼女は・・・断った。だから、力づくでも連れていくしか無かった。
















今回も僕は悪くない。僕はただお話がしたいだけなんだ。そう・・・。ただ、お気に入りなだけなんだ・・・









「これで沢山・・・お話できますよ・・・」

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