エピソードEIGHTEEN
「おはようございます・・・」
いつも通り現場入り。
「おはようございます、イトナさん」
収録をする前に挨拶を済ませる。私は人と話すのが苦手なため、現場のスタッフさんたちとは特には会話をしない。1人を除いては。
「イトナさん!!おはようございます!お水いります?あ、タオルはお持ちですか?あとお薬!」
こんな感じで、朝だろうが昼だろうが関係なしに話しかけてくる。
「ありがとうございます(汗、じゃあ、お水もらいます」
大抵はこうして会話をすれば、何かしら悪くは捉えられない。この人に限るだろうが。
「そういえばイトナさん、最近お元気になれましたね。前はもっとこう、暗い感じと言いますか・・・私が話しかけるのを少し迷惑がられていたように感じましたので」
「まあ・・・ね」
そんな話をもちかけてくる非常識さんなのは、この人くらいだ。まあ、その非常識さんのおかげで私は、助かっているという面もあるのだが。
「あ!!イトナさん!!そういえば忘れてました!今日、キャストさんたちと一緒に大勢で会食をすることになっているんです!イトナさん、今日の夜は会食ですよ!良いですね!?」
私に顔を近づけて忠告する。
「わかりました(汗」
迷惑だけど迷惑じゃない。
彼女の姿を見ていると、なんだかほっこりする。
「ありがとう・・・マネージャー・・・」
私はマネージャーの後ろ姿を見つめてつぶやいた。
「お易い御用です!!」
ニカッと笑ってグッドサインを私に向ける。
彼女は、天使だ。
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