エピソードFIFTEEN

「私が・・・変わってやるさ!」



「やめろおおおお!」



「はいOK。棗くん、イトナちゃん、休憩入ってください」



私は監督さんや音響さん達に一礼をして、楽屋に戻った。




「イトナさん!!さっきの収録、最高の叫びでした!」


マネージャーが、水の入ったペットボトルを私に手渡しながら話しかける。


「・・・ありがとうございます。嬉しい・・・です」


マネージャーも嬉しそうに笑う。私も・・・嬉しいのだ・・・多分。




日本を離れて約1ヶ月。たった1ヶ月しか経っていないのに、色んな事があった。


転校初日に初対面でクラスメイトにいじられたり、急に二人も友達ができたり・・・。日本にいた頃じゃあありえない事がおこっている。



「どうかされましたか?随分と俯いていらっしゃいますね」




マネージャーも、こうして心配してくれる。それが仕事だから。



「ううん。考えことしていただけです」


楽しい、大丈夫・・・そう言えたら良かったのだが。




「あ、すみませんイトナさん。休憩終わりみたいです。行きましょう」


マネージャーはせかせかと楽屋を出ていった。




「はい・・・今行きます」


私は、自分のペットボトルを持って、収録スタジオへ入った。

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