エピソードTEN

「困ったものねえ・・・」


「本当よ!転校初日からいじめられるなんて、これから生きていけないじゃない!」


私を挟んで横に並んで歩く2人の女子生徒。


「あの・・・このポジションの必要、あるのでしょうか・・・?」


「必要あるわ」


「さっきみたいな事があっちゃならないし。それに、この学校には、ヤツがいるから・・・」


女子生徒は顔をしかめて、手を口元に寄せた。ヤツ?さっきの男子生徒の事だろうか。


「何事も我慢は付き物だけど、さっきみたいなのは我慢する必要ないわ」


「そうよ。イトナちゃん、何かあったら言ってね?」


2人が笑いかけてくれる。初めてのことに戸惑っている反面、凄く嬉しい。



「ところでそのぉ・・・お名前は・・・」


名前を聞いていなかったことに気づき、咄嗟に聞いた。


「ジョセフよ」


「マリアーナよ」


2人して王女様みたいな名前だ。


「可愛い名前だね」


私は思わず微笑んだ。すると、2人は顔を見合せ、ヒソヒソと何か話している様子だった。



「ねえ聞いた!?ジョセフ。可愛いですって!」


「聞いたわマリアーナ。私たちのお名前をほめてくださったわ!」


「「やっと見つけたわ・・・私たちの王子様!!」」



2人してやたらとニヤニヤしていた。私、何か変なこと言っただろうか。




そんな2人を眺めながら、ふと窓の外に目をやった。その時だった。



「ごめん、ちょっと待ってて」


そう言って私は、窓から飛び降りた。



「「えええ!?ここ3階よ!?」」

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