エピソードNINE ー不服な男子生徒

「なんなんだよあの女!!!何が声優だ!!泣いてんじゃねえよ!」


教室で俺はドスドス歩き回る。


「あああああ、イライラする!!あの女の顔ぶっ潰してやりてえ!!」


机やイスをけ散らかした。




「怒鳴りながらガニ股で歩くなんて、紳士的じゃありませんよ」


振り返ると、そこにはヤツがいた。


「す、すみません」


「どうしたんですか。あの女・・・とか言ってましたよねぇ」


「聞いてくださいよ。ムカつく奴がいるんすよ。あいつ、イトナとかいう女でね、声優らしいんですよ。日本から来たくせに、英語もフランス語もできるし、しまいには俺に恥をかかせて・・・とにかくイライラして」


「そうですか・・・じゃあ、こうしましょう。・・・・・・」



ヤツは耳打ちをしてきた。


「えっ・・・それを俺が・・・!?」


「もちろん。だって、嫌なのでしょう?なら消すまでです」


鳥肌が立つ。背中に妙な汗が伝う。


「嫌ならしなくてもいいですよ、ヘタレくん」



「い、いや、します!やります!」



「ふふ。よろしい。頑張ってくださいね」


ヤツの笑顔は、怖かった。

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