エピソードFIVE

「イトナさん!こっちです!」


スタジオに着くなり、何やらマネージャーは慌てている。


「何かあったんですか?」


顔を覗くと、マネージャーは半泣きになっていた。


「それが、それが・・・次の作品が決まったんです!」


持っていた水を落としてしまった。たったそれだけ・・・?それだけのためにスタジオに呼ばれたの?


「しかも主人公役!!凄いですよ!」


マネージャーはわんわん泣き始めた。


「イトナさんのマネージャーでよかったですぅーーーーーーー(泣)」


お仕事をもらえたというのはすごくありがたい。"優しさのかくれんぼ" でヒットしといて正解だったと思う。



「で、早速なんですが、収録の準備なども諸々あるので、イトナさんには学校を少しの間お休みしていただきます」


県外での収録なのだろうか。学校を休むというほど、大掛かりな収録なのだろう。


「イトナさん、私は嬉しくて嬉しくて・・・頑張りましょうね!」


「はい!」



落とした水を拾い、私はマネージャーにむきなおった。

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