エピソードFOUR ー香月

「なあ、香月」


「ん?」


「隣の学園のやつからメールきてさ。香月のお姉さん学校来てないらしいな」


知らなかった。


「急な用事って、休んだらしいぜ」


「あ・・・そうなんだ」


姉さん・・・何かあったのかな。



「いやしっかし、困ったもんだねえ。芸能人ってのは。確か、お前のお姉さん声優だっけ?いいなあ、羨ましいぜ」


「うるさい」


「はいすみませんでした」


こいつだけは、姉さんの事を知っている。声優をやってる事も、姉さんが可愛いってことも、姉さんがどれだけ苦しい思いしてるかってことも。



「それよりさ、お前まだお姉さんに言ってねえの?」


「あぁ、言ってない」


「さっさと言えよ?あとから気づいて傷付くのはお前じゃなく、お前のお姉さんだ」


「あぁ、わかってる」


あれだけは言えない。絶対に。

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