エピソードTWO
「それでは授業始めるぞー」
「へーい」
教室には、気だるげな教師と生徒の生意気な会話が繰り広げられている。
「・・・それじゃあここ、お前解け」
「は!?私?」
「そうだ。お前以外に誰がいる」
「めんど〜。そんくらい他のやつにしろよ~」
クラスの中心の女子。ギャルすぎるがゆえに通称ヤマンバ。本名、山田 想 (やまだ おも)。最初はヤマンダだったのだが、それを文字ってヤマンバになった。
「ネクライナにすれば?あのこ真面目じゃんwな?」
まさか自分に当たるとは思わなかった・・・。
「そ、そうだな。ネクライ・・・じゃなかった。純雫、お前この問題解けるだろう」
先生でこそ、私を厄介者と見ている。
「そこは、〇✕⊿※✕〇♪~です」
「そうだな。う、うむ。よろしい。はい次の問題・・・」
なるべく喋る事は控えるために、あらかじめ予習をしたうえで授業に取り組む。もし当てられたら、簡潔にスピーディーに答えられるように。
「そうそう! "優しさのかくれんぼ"、見た?」
「見たよ!超感動した!特に、LaLaがいなくなったクラスメイトを必死に探して走り回ってるとこ!汗水流しながら、"ココーーーーー"って叫んでさ」
「うんうん!私は、LaLaが同級生をお姫様抱っこして "しっかりしろ!今助けるから!"って病院まで走っていくとこ!キュンキュンするよね!」
授業中のはずなのだが、女子たちはアニメの話で盛り上がっている。
「でもやっぱさ!」
「「LaLaの声が素敵よね~♡」」
2次元に恋する乙女か・・・凄く嬉しい。だからこそ、夢は壊しちゃいけない。その声優が私だということがバレないことを願おう。
「そうすると、ここがこう。で、ここが・・・」
見ての通り、教師は無視。生徒がどんちゃん騒ぎをしていても気にとめない。普通に授業を進める。生徒に対して教師が鑑賞をすべきでない、鑑賞しすぎるから生徒が延びない、的な事を職員会議では言っているらしいが、嘘丸出し。
そしてこのクラスに着いたあだ名が、奈落組。ヤクザの組にありそうな名前だ。
「1度は会いたいよね〜・・・イトナ様♡」
みんな気づきもしないだろう。イトナ様が真隣にいるということを。
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