③
* * *
「考えたら、
たしかに、リヒトを誘うには、婚約者であるレティーツィアが
午前の授業
選ばれし方々は、昼休みには専用のサロンに集まるのが
レティーツィアやレアのように、婚約者という公式の立場を有する――尊き方々と同じ純白の制服を着ることが許された
だが、決してそうしなければならないという話ではなかったはずだ。
(少し、
リヒトの傍にいる時間を意図的に減らしてみよう。マリナが行動しやすくなるように。
(シナリオに近い展開があったかどうかは、ほかの生徒の
『推し』を
(ちゃんとすべてクリアーできたら、そのあとで好きなだけ愛でられるもの。『推し』の幸せを
これからも良質な『萌え』に
(これで、少しは事態が動きますように……!)
そう願いながら、レティーツィアはカフェテラスに足を
瞬間、室内が大きくざわめく。
「レティーツィアさまよ……」
「レティーツィアさまが、なぜこちらに?」
「ランチはサロンで
びっくり
(あ、あれ? 貴族専用のカフェテラスって、ここじゃなかったっけ?)
中には、ジャケットを着ている生徒ばかりだ。
学園内には、生徒たちに身分に
その場所を不当に
ここは、おそらく貴族以外の階級が利用するカフェテラスだ。
「ええと……」
レティーツィアはもう一度ぐるりと視線を巡らせると、両手を合わせて苦笑した。
「お騒がせしてごめんなさい。どうやら
ペコリと頭を下げると、一
「まぁ、レティーツィアさまったら……」
「レティーツィアさまでも、迷子になったりするんですね」
「そんなところもお可愛らしいな」
その場にあったピンと張った糸のような
「あ、あの、レティーツィアさま。よろしければ、ご案内しましょうか?」
レティーツィアは振り返り、そこに立っていた
「あら、それは申し訳ないわ。説明してくださるだけで……っ……!」
レティーツィアは大きく目を見開き、女子生徒を
紅茶色のおさげ
(キャラメル色のジャケット……
だが、レティーツィアの目を引いたのは、そんなものではなく。
「あなた……それ……その
震える声で言うと、女子生徒が「えっ?」と小さく
細い手首を
組紐とは、美しく染め上げた絹糸を職人の手で一つ一つ編み上げた紐のことをいう。
武具の紐や茶道具の
(そして、これは……!)
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