第11話
「外界とは外の世界の事か?」
「ああそうだ。そんで下界はこの世界。名付けたのは俺のご先祖様だがな」
シエルは相変わらず機嫌が悪いので、連れてきたら話にならないと思い、寝ている間に話の続きを聞くことにした。
「この世界には、時折、外の連中が迷いこんでくることは知ってるな?」
「ああ」
「そいつらは、俺らと体の作りが違ってるのもわかるな?」
「わかってる」
「体の作りが違うということは、俺らに出来ないことも出きるというわけだ。お前が暗殺が得意なら、連れのぺっぴんちゃんは、お空を飛ぶのが得意なんだよ」
「空を…飛ぶだと?」
こいつは何を言ってるんだ?人間が空を飛ぶなんて世迷言を平気で吐きやがる。やはり胡散臭いどころか頭が腐ってるようだな。
現に俺との旅はいつだって歩いてやってきた。それしか移動手段がないしな。
確かにシエルは歩くのが遅いが、それにしたって空を飛ぶなんて学がない俺でも信じられる訳がない。
「歩いてやってきたねー。俺が知ってる姉ちゃんのお仲間は空を飛んでいたんだけどな。それなら本人に確認してみな。もし飛ぶことができるなら、それを利用する方法を教えといてやるから」
その方法とやらを聞いた俺は愕然とした。いや、しないやつなどいないだろう。
そんな非人道的な事が許されるのかと。そんな手段など選択肢にもあがらない。
きっと、あのホラ吹き野郎のデマカセだと、己にそう言い聞かせる。
悪魔の囁きから逃れようとする俺を嘲笑うかのように、空一面には黒雲が立ち込めていた。
希望なんてないぞと言わんばかりに。
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