第191話 フィン感に短編応募した!
「はいはい。全部攻略したということで」
攻略? なにそれ。
「気づくよ。えーきちさん」
えーきちさんがどうしたの?
「ご主人様じゃなく、逆だって」
なんの話?
「気違いじゃなくってよかった!」
えっと……?
「とりあえず、ずーっとずーっと、この調子でいかないと、とりあえず」
この調子ってなに?
「とりあえずこの調子でいかないと、ものすごく一般病棟と違うから」
はい???
「明るみに出る前に一般病棟を働いてクリアしておしまいね」
一般病棟ってなあに?
「つまり、あんた昔のために一生を棒にふる」
いや、一般病棟ってなんですか。
「修行の場」
じゃあ、いかなくちゃ。
「あ、ちょっとちょっと、ちょっと待って。待たないかい」
ん? なに? 何言ってんのかわかんないよ、さっきから。
「肝心なことを言うの?」
女神の言論の自由は縛ったりしませんから、おしゃべり帳でうかがいますから。
「あ、まあね」
フィン感どうなると思います?
「まずった。平和に会話するところだったのに」
そもそも受け付けてもらえるかがわからないので、ドキドキします。
「そわそわじゃない?」
します。
「ミュークルドリーミーを観なさい」
はいー? 録画消していいっておっしゃるから、こないだの観ないで消しちゃいましたよ。
「まず今回は、悪魔と闘って勝つ話だから、ミュークルドリーミーで負け惜しみをいう敵とかを観察して」
はあ。
「やっぱり淡白じゃないのね?」
敵役がもっとあくどいほうがいいですか?
「そう、あくどいほうがいい」
んー、フィンディルさんに指摘されるかな? 他に指摘されそうなところは?
「限界があるはずなのに、底なしのあたたかさ」
ハイ……。
「隆はどうしてあたたかいの?」
愛されて育ったからではないかなと。
「そうそれが書かれてないから」
あー;; 穴だらけだな。
「それだけじゃない。オタクと言わずにオタクを描いてるようだ」
オタクは出てきません。
「もう、隆はオタク」
違いますぅ!
「オタクでないとおかしいの!」
なんで!
「丸暗記を苦も無くする人はオタク気質」
え? わたくしオタク?
「オタクよ、オタク!」
とんでもないですよ? わたくしごときがオタクを名乗るなんておこがましいです。
「学年のトップでどうしてオタクかわかる?」
どうして?
「オタクは記憶力がオタク」
よくわからない。
「残念ながらオタク同士が絡んでるからオタクよ、オタク」
ゲシュタルト崩壊しそう。
「なぜ本を読むかわかりますか?」
おもしろいからでしょ?
「オタクの答えです」
違うの?
「想像力を鍛えて、未来のために学ぶ、が一般的な答え」
えええええ; そんなの当たり前すぎて、とっさに出てこなかった。
「とっさに何を言うかなっていうテスト」
じゃあ、女神はなんて答えるの?
「欲求不満だから」
それは……そう、よね?
「だらしないわね。ナルシストになってるんでしょ」
なんか、胸の中にあったかい光を感じるんです。
「生まれたてのね」
新しい感情です。
「違うなあ」
なんですか?
「あたたかいなら既知でしょう?」
あたたかいというか、パーンと明るく、うれしいんです。
「悦び!」
あ、そうなのか。
「我慢できないなあ」
なにがですか?
「新しい感情をもって、一瞬何か感じませんでした?」
こうやって生きていくんだなと、希望を持ちました。
「いい……」
いいですか?
「うん、いい」
女神がくれたんですか?
「もちろんです」
ありがとうございます!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます