第2話 風が伝えた愛の歌 第一話
【シーン1 下山】
・ 高い山の斜面から下界を見下ろす一人の青年。山越えをして麓の街道に向かっている。
・ 途中で見つけた洞穴。松明を作って中を確認。
・ この洞穴で野営することに決めて、薪拾いに行く。
・ 戻ってくると、生き物の気配のなかった洞穴から歌が聞こえてくる。
・
・ メラニーと名乗る女の子は、自分をかえしてくれる人を探しているという。
・ 青年はショーンと名乗って、一番近い人里まで少女を送ることにした。ただし翌日、夜が明けてからの出発なので、今夜は洞穴を
【シーン2 洞穴野営】
・ 夕飯を済ませると、少女はショーンに尋ねる。「どうして旅をしているの?」
・ 「俺は……答えを探しているんだろうか……」昔語りスタート。
・ ショーンは自分が精霊と人間の間に生まれたこと、育った村の神殿で
・ 探している答え「選ぶとは何か?」「何故俺が選ばれたのか?」「救うとは何か?」
・ 答えはまだ見つからない。道半ばで
・ 「もう、いいよ!」少女はショーンの背中を抱きしめる。「おにいちゃんの心が泣いてる……」
・ メラニーの言葉に青年は自分の胸の痛みを知る。――この痛みに気づかないふりをしていただけだ――
・ 背中を抱いて泣く少女に青年は初めて感情の入った声をかける。「もう、泣くな」
・ 柔らかい地面に簡易寝床を用意して、メラニーを寝かせる。ショーンは火を絶やさないよう寝ずの番。
・ 洞穴を吹く風の色が変わった。異変に気づき、ショーンは武装して洞穴の外に向かう。
【シーン3 邂逅】
・ 外を見るとローブを纏った男の姿。昔彼の住む村を襲った男と同じ姿――ショーンは斬りかかりたい衝動を抑えて冷静に外に出る。
・ 男はキースと名乗る。村を襲った男で主の命令でショーンを迎えに参上したと。
・ ショーンが断ると、戦闘開始。まずは拒否する意志を消そうと、脳に攻撃を仕掛ける魔法を使うキース。ひたすら抗い耐えるショーン。
・ 頭痛が激しさを増していき、ついに倒れるショーン。誘惑の言葉に更に強い脳への攻撃を乗せるキース。激烈な痛みにショーンの意識が薄れていく……
【シーン4 幻影】
・ 何故か広い草原の上に浮かんでいるショーン。風に乗って、少女の歌声が聞こえてくる。
・ ショーンが声の主のほうに飛んでいくと、無音の中で少女が不安げに振り向いて叫ぶ。「おにいちゃん!」
・ カッと目を見開いたショーン。腕輪が強烈な光を放ち、キースの魔法を破る。
【シーン5 戦闘】
・ 「ますますあなたが欲しくなりました」
・ 肩で息をするショーン。ゆっくりと立ち上がりながら「俺の意志は変わらない」
・ キースがゴーレム召喚。「殺さない程度に遊んでおやりなさい」
・ ゴーレムの懐に飛び込むショーン。剣が折れ、ゴーレムの腕に吹っ飛ばされる。
・ 太い木にしたたかに打ちつけられたショーン。息が――できない!
・ 倒れてもがくショーンを狙って振り下ろされるゴーレムの腕。辛うじてかわすと息が戻る。
・
・ 木にもたれたまま折れた剣を構えて精神集中。寄ってくるゴーレム。
・ 「そこか!」再びゴーレムの懐に飛び込むショーン。腕輪発光。
・ 核破壊。崩れるゴーレム。飛び退いたショーンの手には青白く輝く日本刀(大太刀)風の剣。
・ 「蒼月ですか。その剣に敬意を表して、私自らお相手いたしましょう」
・ あらゆる遠隔魔法で攻撃してくるキース。避けるショーン。風の刃に傷つきながら、洞穴のある斜面のほうに追い詰められる。迫る炎の球。
・ 炎の球を切り裂き、静かに告げるショーン。「そろそろこちらからも行かせてもらうぞ」
・ 持ち前の速さで一気に間合いを詰め、間髪入れず斬撃を繰り出すショーン。キースは防戦一方。
・ 今までのダメージを感じさせないショーンの攻撃。焦るキースは軽い魔法でショーンを飛ばして一旦間合いを取ろうとする。
・ 吹っ飛ばされるショーンはキースの予想に反してすぐに体勢を立て直す。ショーンの剣がキースを貫く!
【シーン6 決着】
・ 互いにもたれて立っているショーンとキース。「何故、急所を外したのですか?」
・ 「お前を殺しても、仕方ないだろう」キースから剣を抜き、手当てのため荷物を取りに向かうショーン。キースに呼び止められて、ショーンの想いをぶちまける語りスタート。
・ 「憎しみの連鎖を断ち切る。自分自身に負けたくない」語るショーンをキースは笑う。「甘いですね」
・ 杖を支えに立ち上がり、印を結ぶキース。「あなたの大切なものを道連れに、この世を去りましょう」
・ 「おにいちゃん、どこぉ?」最悪のタイミングで洞穴を出てきたメラニー。「逃げろ!」必死に叫ぶショーン。
・ メラニーに向かって走りだすショーン。ダメージがかなり来ているため、足場の悪い茂みの中を思うように走れない。
・ 「あなたと戦えて楽しかったですよ」最後の魔法を放ち、仰向けに倒れるキース。絶命。
・ キースの放った禍々しい色の光が、走るショーンの後ろから迫る。ただし軌道はショーンを僅かに右に逸れてメラニーに向かっている。
・ 意志を持つように木々を避けて進む光。このままでは間に合わない――
・ 茂みを抜けた直後、気配を頼りに一歩大きく右側に踏み出すショーン。直後、衝撃音とともに光がはじけて辺りを呑み込む。
【シーン7 死】
・ 光が収まると、明け方の薄明かりに浮かび上がった二人の姿。ショーンが呟く。「なんとか、間に合ったな……」
・ 駆け寄るメラニーをしっかり抱き止めるショーン。「おにいちゃん、こわかったよぉ!」
・ 髪を撫でて泣きじゃくるメラニーを落ち着かせるショーン。「怪我はないか?」
・ 「ないよ」「そうか、良かっ……た」安堵とともに意識を失い
・ 「おにいちゃん、しっかりして!」揺さぶるメラニー。ショーンの背中に禍々しい色の光が――意識を取り戻したショーンは動けず激しい痛みにひたすら耐える。
・ 傷だらけのショーンに気づいたメラニーが手当てのために荷物を取りに洞穴へ向かおうとする。その腕をショーンが掴む。呪いの説明。「助かる術などありはしない」
・ 「そんな……」自分のせい? と泣きじゃくるメラニーに「それは違う。巻き込んだのは俺のほうだ」
・ じわじわ焼かれていくショーンの身体。その熱が内臓に届いたとき、苦痛に耐えるショーンの口から、ずっと堪えてきた
・ 何かを求めるように伸ばされたショーンの手を、両手で握るメラニー。「もうしゃべらなくていいよぉ……」
・ この先どこへ向かえばいいか。俺の屍はそのままに。荷物を持っていけ――薄れていく意識の中で必死に行くべき道を説明するショーン。
・ 「約束果たせなくてごめん。メラニー、君は、生きろ……」メラニーの涙を拭って、ショーン絶命。呪い終息。
・ ショーンの亡骸を揺さぶるメラニー。「違う! おにいちゃんはあたしをかえしてくれた! 今度は私がおにいちゃんを助けるんだからぁ!」
・ 光を放つメラニー。呼応するショーンの腕輪。
【シーン8 目覚め・旅立ち】
・ 朝方。ショーンが目覚める。彼と同じくらいの年頃の美しい娘が、泣きながら彼を見下ろしていた。「良かった! 目を覚ましたのね」
・ 「ここは? 君は一体……」娘が答える。「私メラニーだよ」
・ 飛び起きるショーン。全身に痛みが走る。「俺は、生きているのか?」
・ 彼の生命を呼び戻すのが精一杯で、傷をすべて治してあげられなかったと謝罪するメラニー。混乱するショーンが説明を求める。
・ 「実は私、天使なの」翼を広げてみせて経緯語り。
・ 出会った頃の幼い姿は
・ 「さっき君は俺の生命を呼び戻すのが精一杯でと言っていたが、まさか……」
・ 天に戻る力はないと告白するメラニー。「何故……」
・ ショーンの生きたいという強い心を見ていたメラニー。それなのに、その命を捨ててまで彼女を守ってくれた彼をそのまま天に連れて行くなんてできなかったと言う。
・ それから、彼の答えを見てみたい。自分も何故ショーンのもとに送られたのか、答えを探してみたいと告げる。ショーンの答え探しを手伝いたい。そうすることで見つかるような気がすると。
・ ショーンの生命を繋ぐことを選んだけれど、ただ闇雲に苦しみを延ばしただけではないか……平穏と安らぎを与えるべき天使が、混迷と苦痛を与えてしまった……自分の罪だと言うメラニー。天が許す限り、ショーンを傍で支え助け見守り続けたいと本心をぶつける。
・ 自分と一緒に行けば、また危険な目に遭わせてしまう。下手をすれば生命も……悩むショーン。それでも一緒に歩きたい! メラニーの意志は固い。
・ 「あの歌、もう一度聴かせてくれないか?」
・ メラニーに身を任せて目を閉じ、静かに彼女の歌を聴くショーン。
・ 歌声が止むと、決意したように目を開き、想いの丈をぶちまける。俺はメラニー、君に救われたんだ。だから自分の罪だなんて言わないでくれ……
・ 決意表明。一緒に来てくれ。俺も全力で君を守ろう。
・ 共に旅をすることになった二人。とりあえず近くの人里まで行くことにして下山準備。
・ 準備完了。ショーンはメラニーに肩を借りて、いざ旅立ち。
【完】
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