第8話 モフモフと添い寝
きゃわいい青い猫の姿となったトラヴィスに興奮する!!青い猫なんて前世でもいないし貴重。そりゃ野良猫は何度も見たけど、とても触れないし警戒してか逃げる。いや、私の顔がヤバかったから怯えてが正しい。
ともかくトラヴィスということを一旦忘れる。だって猫なんだものおおおお!!
「ああ、いい毛並み!!好きっ!」
といつものように優しく撫でる。少し震えたから
「あれ?寒いの?」
「す、少し…」
縮んだ時に脱ぎ散らかした服を見た。そう言えばまともに考えたら彼は今全裸。
いや、猫だ。毛があるもの!でも猫は確か寒がりである。
前世では母が猫嫌いで飼わせて貰えなかった。猫を飼ってる友人から一緒に寝たりしてる。とか聞いて羨ましかった。
「そう、なら一緒に寝まちょーね!!」
と言うと驚きつつも
「えっ!?流石にそれは!!」
と返ってくるが無視した。だって私の夢なんだもん!
「寒いんでしょ?おいで?甘えて?後猫なんだから喋るな!!」
と言うと彼は
「にゃーん」
と猫鳴きをしてモゾモゾ布団に入る。もちろん距離を取る。
もどかしい。可愛い猫が居るのに。
私は遠慮なく猫を抱き寄せた。
「にゃっ!?」
と声がしたがモフモフを堪能して眠りにつく。
*
スースと寝息が聞こえる。
しかし俺は彼女の胸元で抱きしめられていた。
違うんだ。もうガッチリホールドされている。
あああ!違う。柔けーなとか思ってないからぁ!
何とか抜け出し毛布の上で丸まった。
すると何か怖い夢でも見たのか彼女の目尻に涙が溜まっていた!!
俺はソッと近寄り…舌で舐めた。彼女の涙を。
大丈夫怖くないから。大丈夫だよ。
そう願いながら。
すると彼女は安心したように眠り込んだ。
*
翌朝…全裸の王子様が布団の上で丸まっているのを見て一気に目が覚めて
「ぎゃあああ!!変態っー!」
とテントから出て逃げた。
起き抜けにあんなの見たくないっての!いくらイケメンでも裸族とは解り合えない。
でもただ薬の効果が切れただけである。
しかし添い寝はやはり良かった。
あの抱き締めた時のフィット感!1日一回なんて惜しいっ!でも街に着くまでは歩かないといけないし、荷物はほぼトラヴィス持ちにさせてある。
だから夜くらいしか触れないの!
貴重なモフモフタイムを邪魔されたくない!
しかし起きたら全裸。
夢も覚めるわ。
あのおぞましい日を思い出してしまう。
あの兵士ぶっ殺しておけは良かったけど流石にそこまでの度胸もない。前世日本人で殺人は罪だ。私犯罪者になりたくない。
テントから服を着たトラヴィスが出てきた。
「見苦しいものを見せて済まない」
と謝罪してくる。なんか調子狂う。今まで私たちは敵対関係にいたし。それが今じゃ私の奴隷も同然でなんでも言うことを聞いてくれる。
もしかしてモフられるの嫌なのかな?
彼にしてみれば全裸で触られてる感覚だ。
やだ?変態は私っ!?
でも猫は可愛いんだもん!!仕方ない!!
トラヴィスは昨日釣っておいた魚を調理し焼いた。食料は調達しながら行かないとだから薫製にしたり日持ちする努力をしてくれた。王子だけどこう言う時に備えて騎士団からサヴァイバル術学んだらしい。
私も旅をしながら魔法で矢を作り鳥や獣を狩ったりした。トラヴィスが回収して料理する為捌くけど気持ち悪くて正直見ていられないから私はその間薪木などを拾う。
そうしてようやく夜になり結界を張りまたモフモフタイムだ。
「はーーーん!!カンワイイ!!最高!!肉球もプニプニで可愛い!あっ!お願い額にでいいから肉球でパンチして!猫パンチ!!」
と要求するとペチリと痛くないパンチがきて萌え上がる!
ぎゃー猫パンチ頂いた!!正直かなり私今ヤバイ状態なんだけどトラヴィスは何も言わない。っていうか慣れたし、ニャンコの時はニャンしか言わなくなってより猫っぽい。
そそるぜ!!
だから今日も添い寝させていただくのよ!お腹に顔をすり寄せる。ふひーー!!
「国境の街は明日には着く。明日は魔法で毛色と瞳を緑にする事忘れないでにゃ」
とトラヴィスが言う。語尾ににゃっって付けてくれた!!可愛い!
「はーーーい!!ニャンコ王子!!」
「にゃー…」
とひと鳴きして猫と私は眠った。
翌朝…やはり全裸の王子様が横でスースー寝ていた。顔は憎らしいほど綺麗だ。今のトラヴィスの性格はそんなに最悪じゃない。私の言う事なら何でも聞いてくれるし…や、優しい。
荷物も重いけど文句一つ言わないし、シャーロットに裏切られたのにシャーロットのことも何も言わない。シャーロットとは恋仲だったのよね?あれも転生者だったからイケメンをキープしてたんだろうな?赤の王子も推しの1人だったのかな?
私の推しは…藍の国の王子様だった。青と紫の中間色ね。必死で攻略したわ。暗い過去を持っていて性格は庇護欲をそそり守ってあげたくなるショタ美少年であった!!そう、ヒロインからしたらオネショタだった!!私は可愛いものが全面的に好きだ。
因みにトラヴィスはクール系のイケメン設定をされていた。今はともかく昔は私に対して無視するくらいだったからクールってことになるのか冷徹というのか?水と氷魔法は得意だ。
シャーロットの推しの1人と思われる赤の王子様はその色の通りめっちゃくちゃ情熱的でくっさい甘ったるい台詞を吐き散らす奴でトラヴィスよりも遥かに私は嫌いだった。
たぶんシャーロットの前世の人は赤と青の相反する性格のギャップなどに惹かれていたんだろうな。
考えているとパチリとトラヴィスが目覚めた。いつもなら悲鳴を上げて逃げるのに逃げない私に驚いて顔を赤らめていた。たぶんあれだ。下半身見えないからな。
「おっ、おはよう…すまない…直ぐに服を着る…」
私はテントから出て顔を洗いに行く。
*
何で悲鳴を上げなかった?
いつもなら逃げ出すのに、そ、それに…マティルダの綺麗な瞳は俺を見てた。
興奮して下半身ヤバイ事になってた。
下半身隠れてて良かった!
「少しは慣れてくれたのかな?それとも考え事でもしてたのか?」
一緒に旅をしていて時折何かを考えている彼女を見てきたから。いつか話してくれるまで俺は待つよ。この秘めた想いも隠す。
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