第2話 こむぎを想う気持ち
わたしはこむぎが好きだよ。
そう言えたら楽になるのかも。
でも、いつも一緒にいて、未だにこむぎが語るのは、作品についての事ばかり。
私達のプライベート的な発展は見えない。
想像すれば、私達はきっとうまくいくと思うのに、幸せなふたりが見えるのに、、。
こむぎは、くるみを求めているが、わたしを求めてはいない気がして、作品抜きで会いたいとは言えない。
そんなつもりは無いと言われたらそもそも、こむぎの側にいられなくなりそうで怖い。
今、わたしの人気が高いのは、こむぎのおかげなのだ。
たまに、わたし単体で呼ばれる事もあるが、はっきり言って華やかさに掛ける。わたしの魅力があるとしたら、それはこむぎが引き出してくれるものだと思う。多分、世間もそれに気づき始めている。
「くるみ」「クルミ」「胡桃」と、もてはやされるのも、今のうちだけだとわたしは知っている。
だって、、、。
はじめは舞台の真ん中に、ちょこんと立っているだけで、お客さんの目が輝いていたけど、だんだんとそれだけでは認めてもらえなくなった。
ふんわりとした舞台で「お飾り」と言われるのも辛かった。
だからわたしからこむぎに「もっとハードなものに挑戦したい」と話しを持ちかけた。
それまでのふんわりとした、こむぎのイメージを変えてしまう事になったけど、わたしは以前から、こむぎのハードな作品は絶対に若い女子に受けると感じていたのだ。
そして、目論見どおり、こむぎのハードな作品は、オシャレ女子を中心にあっという間に人気が高まり、ブランド化され、こむぎも忙しくなった。
忙しいこむぎの負担を補ってあげようと思い、わたしも頑張って多めに出るようにした。わたしから言い出した事だし、世間に認められるのは嬉しかった。もうお飾りとは言わせないし、こむぎからわたしが主役と認めてもらえているようで嬉しかったのだ。
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