第二章 変人少女

いつものように小説を読みながら流れる雲と動く時計の針ををぼーっと眺め、屋上でため息をつく。


そうしたら、いつもは開かない屋上への扉がバン、と開いた。

そしてむすっ、少女がズカズカとこちらへ向かってきたのだった。

「ねぇ、あんた。」

怒った様子で少女は僕に話しかけた。

「な、何…ですか…?」

僕は少し怖くてどもりがちに言った。

「あんたさー?ちょっとボクに付き合ってくんない?隣座るよ。」

と、イライラした雰囲気の少女が隣へと座った。


(落ち着かない雰囲気になってしまった…てか何だこの女…)

僕は横を見る。

そしてハッ、とした。

よく見たらその少女は学校の中でもかなりの問題児、焔朱音だった。

(うわぁ…よりによって…この子だけは関わりたくなかったなぁ…)

そんな僕の思いも気にせず彼女は僕に話しかけてきた。

「あんたさ、教師ってどう思う?」

「な、なに…?別に…特に考えたことは無いけど…」

「ふん、そんなものなのかね。ボクはさ、アイツらは社会のこと知ってると思ってるつもりでいる馬鹿共だと思ってんの。」

「は、はぁ。」

(そんな事言われても知らないよ…てか何怖いよ…)

もう逃げ出したくなった。

「んでさー?ボクが今日もアイツらに間違いを指摘してやったら教師になんて態度するんだ!だってさー?ウケる。いい加減にしろよって話だぜ。」

ああ、ますますもう逃げたい…

「あんたは気になんねーのか?間違いすら認めない大人が教える側だってのをさぁ?」

彼女は僕の様子なんて気にせず凄い形相で聞いてくる。

はぁ、なんで僕が…

「あーっ!もうなんかこの気持ちどーにかなんねーの?あんたさぁ。あ?なんだ?本読んでたのか。あー、邪魔したみたいだな。ま、ボクは少しすっきりしたし行くよ。じゃーな。邪魔したぜ!」

そう言って、嵐のように彼女は過ぎ去って言った。

(何だったんだ…?)

バン、とドアが閉まるのを見て方の力が抜け、どっと疲れが底から溢れてきた。

もう嫌だ…こんなの二度とゴメンだ…

そして僕は屋上の床に大の字になった。


彼女とは、もう出会うことは無いだろう。

いや、出会いたくもない。

そう思っていた。

そう思いたかった…

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