第一章 社会不適合
「陰キャ」
僕はいわゆるそういうやつだ。
クラスでも目立たず、いつもバカ真面目に授業を受けて、課題やらなんやら何となくこなして適当な毎日を送っている。
それだけの奴だ。
そんな僕の唯一の楽しみは小説を読むことだった。
そんな僕を見てクラスの奴らはみんな根暗だのオタクだの言うがそんなこともう気にしてなんかない。
なんせ小説を読む時は僕はその世界にのめり込んでるので聞いてすらないのだ。
そんな僕の好きな小説は「ライトノベル」の歴史を作ったと言われる伝説の作品で、女子高生の中にある二重人格の死神が世界の敵を倒す。というものだった。
その世界の敵も何かを悩んだり、信念を持って戦っている。そんな姿がとても強く、そして儚く悲しくてなんだかとても美しく思えた。
時々僕も信念や何かと戦ってみたいと思うけれど、どうせ目の前には課題とテストと面倒な周りの陽キャしか居ないのでしょっちゅううんざりしている。
「あーあ、僕も特別な力とか使命とかがあったらいいのになぁー。」
そんなあるはずもない夢をずっと待ち望んで、そして馬鹿な自分にうんざりする。
そんな昼休みの屋上。
厨二病だなぁ、とよく思うけど夢を見ることが悪いことではない。
そう思いながら読みかけの小説に栞を挟み、パタリ。と、閉じた。
また面倒な授業が始まる。
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