第15話 落選
再び、数ヶ月後。俺は応募していた小説のコンテストで賞を取ることができなかった。これはショックだった。賞を取る自信があった。小学生が夏休みの自由研究の宿題に殺人事件をテーマに選んで地元で起きた殺人事件を調べるという話だったのだが……。
「お前には才能なんてないんだよ」と言われた気がした。が、数日後には、意地でも小説家になってやろうと考え直していた。応募した作品を見直して、修正できるところは修正し、別の小説賞に応募した。
小説賞はたくさんある。また、新しい話を書いて、応募したっていい。
幸い、小説のネタはどんどん浮かんでくる。正直なところ、書くのが追いつかないぐらいだ。面白さは置いておいて、今もWEBの小説サイトに10作品近くを公開している。その内、いくつかは完結まで書き切っている状態だ。途中まで書いている作品もある。ひょっとしたら、公開している作品の中から書籍化の依頼が来るかも知れない。
最近、変化があったことといえば、猫を飼い始めたことぐらいだろうか。
正直なところ、家は賃貸なので、ペットを飼うことはできない。しかし、隠れて猫を飼い始めた。野良猫を餌付けしていたら、うちに居着くようになった。最近の言葉で言うなら保護猫だ。元が野良なので、ちょくちょく外に出かけ、気が向いた時や夜になると帰ってくる。それだけなら半保護状態なので、別に飼っている訳ではない。ご飯を食べにくる猫がいるだけだと言えなくもない。しかし、その猫が雌だったため、うちで子猫を産んでしまった。小さいから外に出すのも不安だし、そのまま飼う形になってしまった。
家族のためにも、猫のためにも、俺は小説賞の受賞を目指していた。
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