第14話 落下
また、数ヶ月。俺はハローワークで新しい職場を紹介してもらった。
その会社は、今までで最速、1ヶ月ちょっとで行けなくなった。社員数が数名の小さい会社だったが、仕事内容は面白かった。WEB系のプログラマとしてプログラムを書くことは今までと変わらないのだが、その会社はエンタメに特化した会社でドローンで空撮した動画を公開したりしていた。俺はそれも手伝わされた。ドローンは初めて触ったが、飛ばしていて面白かったし、自分のドローンを欲しくなかったほどだ。それ以外にも一眼レフを使って、自分の周り360度を撮影して、全天球の画像を作ることもあり、その撮影方法も教えてもらった。他にも360度撮影できるカメラを使用して全天球の画像を作ったりもするそうだ。画像加工もやることがあるので、フォトショップを使って画像加工の勉強も少しだがやってみた。
俺は作業をしながら、まだ
その会社に行けなくなったのは、社長がちょっとアレな人間だったからだ。毎日、バイトのおじさんに向かって怒鳴っていた。
バイトのおじさんが怒鳴られる理由は確かにあった。会話の繋がりが極端に分からないのだ。今、ある話をしていて、社長が「それがさ」って言うと、「それって何ですか」といった調子なのだ。確かに社長が急に違う話をすることもあるので、聞きたくなる気持ちも分からないでもないのだが……。
いくら他人に向けてとはいえ、毎日のように怒鳴られている声が聞こえる職場では、うつ病が悪化する。
他にも、俺がいる間にも社長と総務のおばちゃんが大喧嘩をして、「もう耐えられない。辞める」と捨て台詞を吐き、翌日から来ないということもあった。社長は、総務のおばちゃんとも毎日のように怒鳴りあっていた。
その会社には他にも問題があった。社長が経営が下手で自転車操業だった。現に仕事をした報酬が相手の企業から振り込まれたら給料を払うからと給料の支払いが初回から伸ばされた。妻が調べると、10年前からそんな感じらしい。10年前の口コミに自転車操業をしていると書いてあったようだ。
総務のおばちゃんはどうしたのか分からないが、以前にも給料未払いで裁判を起こされたことがある会社だったようだ。それも妻が調べてわかったことだが。
どうしてハローワークには、マトモな求人がないのだろうか。いくら何でも、給料未払いで裁判を起こされたことがある会社の求人を普通に紹介するのはどうなんだろうか。
こうして、俺はまた無職になった。今回はバイトから正社員になるという話で、職歴には含まれないだろうが、立て続けに変な会社に当たってしまった。ただでさえ、うつ病で辛いのに、仕事するのが嫌になる。転職して、ダメになって。また、転職して、ダメになって。こんなんじゃうつ病も良くなるわけがない。
あぁ、小説で生計を立てられたらどんなにいいだろうか。
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