アンティークのような

私本人は、「恋愛の相手など星の数ほどいるじゃないか。それに恋愛ばかりが全てじゃないよね」派の強気な人なので、ちょっとやそっとの片想い系の作品には心が動かないのですが、本作は胸に響くものがありました。

お互いが軽いからでしょうか。
男性もちょっと楽しんだだけ、リップサービスだったかもしれない。
彼女も、作者様の意図ではないかもしれませんが、案外本気でないように感じました。
恋に恋しているような。
少女の純心を持ったまま老婆になる。
それを美しいと思うか、大人になれなかったと見るか。

日頃は後者の感想をもつ私ですが、本作品ではわずかな会話で一気に老女の過去に引き込まれ、好きな男性と微笑み合う場面がありありと見えました。まるでその老女がアンティークのお人形さんのよう。そう見えたということは、私の心にも少女のような純心さがあるのかもしれません。