第131話:ガールズパラダイス。


 次の目的地は女性だけの街、ガルパラ……とかいったか。妙な名前の街ではあるが、奇妙なのは街の名前以前に女性しか中に入れないって所だよなぁ。


『女の子の姿で良かったわね♪』

 まぁ、今回ばかりはそうなるかな。

『それに女の子しかいないって事はそりゃもう入れ食いよ♪』

 何がだよ。

『何がって……君は本当に男の子なの? 女だらけの街なんて普通の男子なら涎だらだらもんじゃないの?』

 お前さぁ……俺だって健全な男子なのは知ってるだろうが。

『知ってるわよ。よ~っくね♪ だったらどうして?』

 ……いや、今そんな事で浮かれてる場合じゃねぇだろ? クイーンって奴からヴァールハイトの情報を聞き出さなきゃならねぇし、まずクイーンに近付く方法を考えなきゃいけないしな。


『……それが理由じゃないわね。私にはお見通しなのだっ!』

 ……お前最初から分かってて言ってただろ? そんなに俺をからかうのが面白いのかよ。

『さいっこーに楽しい!』

 趣味悪いぞ。


『しかし君がガルパラ行くの緊張してるとはねぇ~♪』

 あ、当たり前だろうが! 女しかいないんだぞ!? そこに居る男って俺だけになるんだろ!? 緊張して当然だろうが!!



「まぱまぱ、見えてきたよー♪」

「ガルパラに来るのは久しぶりですわ」

「ごしゅじん、ここではごしゅじんは本当に女の子ですからね? バレちゃだめですよぅ?」


 しかも、当然ながら今回の面子は全員女子だ。

 イリス、ぽんぽこ、そしてネコ。

 今回のメンバー選びに噛みついて来たのは二人。

 女しか入れないという条件があったので男性陣は口を挟まなかったが、ロリナとアリアはそりゃもう大騒ぎだった。


 ロリナは俺達だけに任せるのが不安だ信用できないと俺を切り殺す勢いで剣を振り回されて大変だった。

 俺はそれをかわしながら説得したのだが、ロリナは納得してくれないし、仕方ないからイリスかネコを外そうとしたら二人とも今回は一緒に行くと言って聞かないし、いっそ姫を置いて行こうとしたら姫から物凄い勢いで罵倒されるしで俺がなんでこんな一番辛いポジションに立たされなきゃならんのだ。


 最終的にはぽんぽこがロリナに説教してロリナが号泣して再び家を飛び出していったのでその間に出発してきた。


 で、アリアの方なんだがこっちはシンプルだ。


「女性だけの街に私を連れて行ってくれないのはやっぱり私の事をゴリラか何かだと思っているのだな……くすん」


 てな感じで落ち込んでしまい、励ますのに無駄に体力と精神力を使った。

 アリアは自分の戦闘スタイルがゴリゴリの肉弾戦な事、パワーキャラ扱いされている事にコンプレックスがあるらしい。

 俺からしたら頼もしいし強くて綺麗で可愛いんだから三拍子揃ってる訳で、全然そんなふうに思った事などないんだが。

 それを懇切丁寧に説明してなんとか納得してもらったという状態である。


「なんか到着までにめっちゃ疲れちまったなぁ……」


「なに言ってるんですの! 大変なのはこれからですわよっ!?」


 大変って……確かに今回はジオタリスが居ないから顔パスでって訳にはいかない。

 ジオタリスが居た所で奴は入れないから意味がないのだけれど。


 他の方法でクイーンに接触する必要があるわけだが……。


「ぽんぽこ、何かいい方法ないか?」

「そうですわね……まずガルパラに入るには審査を受ける必要がありますわ」


 いや、入る為のじゃなくてクイーンに接触する為の方法なんだが……って、審査だと?


「入国審査ならぬ入街審査というやつですわ。本当に女性なのかが確かめられれば問題なく入れますのでそれは心配いらないでしょう?」


「……確かに俺は今完全に女の身体だからな。それについては大丈夫だろう。問題はどうやってクイーンに接触するかだよ」


「……それについてはもしかしたら簡単かもしれませんわ」

「なんだって?」


 簡単に会えるかもしれない? 接触さえできれば、会話さえできればワンチャン期待できるかもしれないな。

 クイーンがヴァールハイトとグルでなければの話だが。


 クイーンが連れてきたという時点で現状灰色なんだよなぁ。話を聞いてみない事には判断できない。


「審査の際に美しい女性の情報はすぐにクイーンに届くようになっておりますわ」

「どういう事だよ……」


「つまり、そういう事ですわ」


 クイーンって奴は男が嫌いというか、どっちかっていうと女の子が大好きなだけなのでは……?


 一瞬クイーンなんて名前だけど実際は男でしたとか、女だけの街を作ってハーレム満喫してやがるのかとか殺意が沸き起こったけれどよく考えたらそれはなさそうだ。


 ジキルが「やっと男に興味が出たのか?」って言ってたからな。その時点で普通に考えたら女なのは確かだろう。


 そう考えるとこれから先この町に一歩踏み込んだらそこからは俺だけが唯一の男か……。


『緊張しすぎてキモいわよ?』

 今気付いたんだけどさ、ガルパラって絶対ガールズパラダイスの略とかなんじゃねぇの? そうとしか思えないんだけど。


『だったら姫に聞いてみなさいよ』


 ママドラの薦めによりぽんぽこに確認してみた。


「……? ガールズ? 何言ってやがるんですの? ガルパラはガルガンチュアパライーソの略に決まってるじゃありませんの」


 ……なにそれ?


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