捜査

「島原さんこれはいったいどういう事ですか?」

坂枝野さかえだの生徒会長が俺に尋ねる

「すみません。生徒会長…すぐに終わりますので。」




生徒会は校長の娘で生徒会長の坂枝野さかえだの ゆきを中心に、


調理部部長の福田ふくた かおり


科学部部長の科学だけ天才の佐野米さのべ 留美るみ


ミステリ研究部部長の沢田さわだ 新二しんじ


技術部部長の大隈おおくま 秀教ひでのり

の五人を中心に動いている。


そして、合併前の学校の前校長で、現教頭の息子後野こうの 宝連ほうれつ副会長。


会長と副会長は親の事もあり何かと対立していて、生徒会としてはあまり機能せず教師たちも全く手を付けられていないのが現状だ


話を戻すと今、俺達は容疑者である生徒会役員の面々に集まってもらい生徒会室の立ち入り捜査を行っている。


「島原クン、いきなり呼び出した上に部屋を荒らすなんてあんまりじゃないか。」

「後野さんの言うとおりです島原さん、良ければ理由を伺えないでしょうか?」

後野副会長の言う事に坂枝野生徒会長が同意する坂枝野会長は、相手が誰であろうと物怖じしない所に人気がある。


「分かりました・・・・今、皆さんにはある容疑がかけられていますそれでこうしてガサ入れを行ってる次第です。」

 

「私たちが何をするというんだね!?不愉快だ、今すぐ捜査をやめたまえ!!」

後野副会長が喚きながら俺の胸ぐらをつかむ

「尚、もし抵抗した場合。部の予算削減、最悪の場合生徒会もしくは部の解散という処置を行う事になりますので大人しくして頂きたいのですが、よろしいですか?」

俺は後野副会長の手を見ながら話す


後野副会長が手を放し、解放された俺は作業に戻る。

きっとこの中にあるはずだ。爆弾を仕掛けた証拠がきっと………



捜索開始からしばらくが経ち―――――

「・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

トモハルとアカネの視線が痛い。

「・・・皆さんありがとうございました結果は後程、話させて頂きます・・・御協力ありがとうございました。」

俺は生徒会メンバーに頭を下げる


「それでは、失礼します。」

俺はそう言うと生徒会室の扉を閉める



廊下を歩きだしてしばらくしてトモハルが喋りだした

「どうするんだい?ケント。振り出しに戻ってしまったじゃないか。」

「あぁ、分かってる。」


「分かってるならさっさとどうにかしなさいよ!」

アカネが怒った声で話す

「出来るもんならやってるよ。」

そう答える俺にアカネはさらに声を大きくして怒鳴る

「このまま学校と一緒に木っ端微塵に消し飛びたいわけ!?」

「そんな訳ねぇだろ!!」

俺も思わず声が大きくなる


「まぁまぁ2人共落ち着いて、廊下のど真ん中でケンカしないで・・・ほら周りも見てる。」

トモハルが俺とアカネの間に入り俺たちを止める


「・・・ちょっと外に出て頭を冷してくる。」

俺は二人から離れて一人で廊下を歩く



「ケントも一生懸命考えてるんだよ。」

「それは……分かってる…………けど。」






俺は秋の少し肌寒さがある中、校庭の柵に腰掛けて遠い空を見上げていた。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・




「君、ねぇ君。」

「ん?あぁ、どうしました?」

ぼーーーっとしていると背広姿の男がこちらを見下げていた。


「君、ここの生徒だよね?」

「はい、そうですけど。」


俺がそう答えると背広姿の男は大きな声で話し始める

「いやぁ~懐かしいなぁ~。実は俺ここの・・・ここのっていっても統合前のだけど。卒業生なんだよ!」


「そうなんですか。でもそれだとあなたが卒業した時と場所も建物も違いますよ?」

「それでも懐かしい物は懐かしいんだよ!」

だいぶ、大雑把な人だな。


「実は俺、ここの高校の恩師の薦めで警官になったんだ!」

確かによく見ると右足に拳銃がぶら下がっている。




「へぇー。今はパトロール中ですか?」

俺はこの時なんとなく聞いた事が事件の解決に近づくとは思ってもいなかった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る