もし出版業界が崩壊したら
「♯出版物の総額表示義務化に反対します」
というタグが今年の春頃からツイッターで見られるようになった。詳しいことはご自分で調べて欲しいのだが、これは来年度から書籍の表示価格を税込みにしなさいという話だ。
現在販売されている出版物は「本体○○円+税」「本体○○円(税別)」等税金を切り離して表記している。それをすべて変えないといけないのか! と反発されている。当然だろう。カバーを取り替えるにしても、修正シールを上から貼るにしてもコストと人手が必要になる。一応、現在税別表記しているのはそのままで良く、義務化が開始してからの出版物を税込みに、ということらしい。
それでも今後、税率が変わればやっぱりカバーを変えたり、シールを貼ったりして対処しないといけないわけだ。そんなリスクを背負って地域の行きつけの書店が生き延びていけるだろうか。出版社もしかり。マイナーな本はどんどん切り捨てられていくんじゃないか。政府はキャッシュレスかだけでなく、密かにペーパーレス化も進めていたのか。なんと言うことだ。紙の本を愛する私たちはいったいどうすれば・・・・・・。
どうもこうもない。紙の本を愛する作家は例え出版社から「先生の本は電子書籍で出しましょう!」と言われたら自費出版で紙の本を出すだろう。そして文学フリマなんか突然出品して出版業界の大事件となるのだ。
紙の本を欲しい私たちはこぞってそれを買いに行く。しかし自費出版。需要に供給が追いつかない。メルカリには100倍くらいの値段で出品され炎上、似たようなデザインの全く別の本を出した同人作家も炎上。贋作も出回り、その中には本物に勝るとも劣らない名作も現れバズったりする。
紙の本を求める声から作家がどんどん同人誌界に流出することで、このようなトラブルは絶え間なく発生し、後に「暗黒の大同人誌時代」と呼ばれる。
書店は作家や作家サークルと直接やりとりすることで書籍を入手し、我々読者はSNSの緻密な情報合戦によりその書籍がいつ、どの書店に並ぶのかを推理し、死に物狂いで購入するのである。偽物のリスクを負いながら通販で入手するか、己の情報網と頭脳を信じ書店に足を運ぶか。
こんな思いをして入手した私の好きなあの作家さんやこの作家さんの作品は、今のように普通に流通した物を購入した作品と比べて思い入れのある物となるだろう。まあ、そんな大変な時代が来ないように、出版物は今の表記を保つべきだと思う。
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