ヤバい(笑)怪談

 大阪の千日前をご存じだろうか。ビッグカメラや道具屋筋のあるお買い物だけでなく観光でも楽しめる大阪の人気スポットの一つだ。近鉄日本橋のあたりと言えば、オタクの方々ならピンとくる人も居るだろう。東の秋葉原、西の日本橋である。ちなみに東京にも日本橋はあるがこちらは「にほんばし」、大阪の方は「にっぽんばし」と読み方が違う。


 ・・・・・・話を戻そう。怪談好きな人にはすでに1行目から「早く怪談しろよ」と思ってるだろう。そのくらい千日前は怪談でよく登場する地名だ。

 1972年この場所にあった千日デパートに火災が発生し、多くの死傷者を出した。かなり悲惨な事件で「千日デパート火災」というタイトルでウィキベディアの記事にもなっている。またその場所には昔、処刑場があったとか、墓場があったとかいう話もある。不謹慎だが、そういった経緯でこの地は怪談が多い。数多の怪談はおのおの調べていただいたら良いと思うが、私が直接体験者から聞いた怪談は他とは異彩を放っていた。短い話だが、語り部はこう語った。


「俺な、千日前で恐竜見てん」


 一体どういうことなんだ! と、その場はかなり盛り上がった。本人曰く、当日酔ってはいなかった。果たして酔っ払っても、そんな幻覚を見るのかと言われれば疑問だが。その時いろいろ聞いたがかなり前なので覚えていない。だが高いビルの角を曲がったところにティラノサウルスが覗いている・・・・・・そんな肝が冷えるイメージは残っている。

 怪談と言ってしまっていいのか微妙なところだが、実際見てしまったら怖いだろう。何しろ肉食恐竜だ。

 それで思い浮かべるのはやっぱり映画「ジュラシックパーク」。私も昔テレビで見たことがある。その日のことは良く覚えている。なぜならあの日、風呂の電球が切れ、懐中電灯一本で入浴することになってしまったのだ。あれは怖かった。照らされる場所以外闇が浸食する浴室、頭によぎるのが恐竜が追いかけてくるシーン、人を捕食するシーン・・・・・・。窓の外を懐中電灯で照らしたらそこに恐竜が・・・・・・なんてことも妄想した。実際恐竜が復活した訳ではないのでそんな怯え方をする必要はなかった、と考えていたのだが恐竜の幽霊っているかもしれない。地底でやすらかに眠っていた恐竜たちは、人間に掘り起こされさらし者になったのである。ひょっとしたら恨んでいるかも。そして恐竜を怖がる人の心にそっと忍び寄るのである! そう考えると千日前で恐竜を見た話はやっぱり怪談と言えるだろう。

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