第3話 再始動
「ここが、噂の街かぁ」
勇者パーティから追放されユラ・ヘクトパスカルとして生きて数日。僕は一つの街に来ていた。
人は多くもなく少なくもない丁度いい感覚でありながら、大きな商業都市に負けないほどの活気に賑わっていた。
「あれは、
動物や人、そして亜人と言った人たちが闊歩する街では、本の中でしか見た事ない人たちがたくさんいて、僕はそれを見て、内心、興奮していた。
「うわぁ、凄いや」
あっちを見ても人。こっちを見ても人。
見たことも無い人種に僕は胸を心躍らせながら街の中を闊歩していると、街の中から嗅いだ事ない香りが漂って来る。
「すんっ、もしかして水牛の串焼きぃ?」
その匂いを辿っていくとそこには美味しそうな香りを放っている一本の肉の串焼きがあった。
爽やかな
もうこれだけでも十分に僕のお腹を空腹をさせる物であったが、それだけでは終わらない。
「!!?」
ジュワアァァ、と更に大きな音を立てながらその串焼きに香ばしい茶色いソースが振りかけられる。
「二本ください‼」
そして、その香ばしい肉に香りに人の食欲そそるソースが掛けられた瞬間、僕の口はそのような事を言っていた。
「おう、二本な」
僕のその姿に店主は何も言わずただ目の前の商品にへと真剣に見つめ合っており、その店主を横目で見ていた僕はまだかまだかと口から漏れ出しそうな涎を我慢しながら眺める。
「ほい、二本」
「料金は!?」
店主から串焼きを二本渡されると、僕はすぐさま懐から財布を取り出し、店主に料金を聞く。
「………………銅三枚」
「銅三枚!? 少し、安すぎではありませんか!?」
「普通だろ」
僕はすぐさま財布の中から銅貨を三枚取り出すと店主に渡し、焼きたてほかほかの串焼きを受け取る。
「まいど」
店主がその短い返事をすると、僕は小さく会釈を行いその場を去る。
やっと、やっとだ。
僕はそんなことを負いながら手に持つ二本の串焼きに目を目を向ける。
さすがに規格外の料金であったがお得な内容で買えるのなら、こちらの方が得をした気分になる。まぁ、今はこの得をした気分を楽しもうではないか。
「はむっ」
そうして僕は口の中に串焼きを含むと、噛んだ瞬間、素晴らしいともいえる程のドンッ、とした肉汁が口の中に広がり、更には香草の爽やかな味わい、そして口の中に鋭く刺さるコクの強いソースの香りが鼻孔を突き抜けて体全体に駆け巡る。
この串焼きを一言で言うのなら『美味しい』ただこれだけだろう。
それほど、僕の身体は喜んでいる。
多分、数年ともいえる程の美味しいものに僕の身体は異変を起こしそうな一歩手前まで来ているのだろう。パーティに所属していた時代は碌な物も食べさせてくれなかった時期がほとんどでしたし、何せ全般なんてない日もありましたからね!!
にしても旨い。旨すぎる。
数年の冒険の感覚さえも忘れさせてくれそうな味わい。
体の何もかもの感覚が僕のことを幸福にへと連れて行っていた。
「………………生きててよかった」
こう人生に一度だけだけではなくたった数度だけの美味しい食べ物と言うものは人生に大きな影響を当てると思う。そう感じてしまう。
「旨い」
度々漏れる、旨い、と言う言葉は串焼きの事を更に美味しく変化させる。
もう、今後、これだけ食べていける気がする。
いや、駄目だな。体調崩しちゃいそうだ。
にしても本当に美味しい。
「にしても、今後本当にどうしましょうか?」
どっちにしろ、この街にはあまり長い出来ないだろうし、王国などにも戻れるような気がしない。それなら一体、どこに向かうべきなのか。
故郷に戻るといっても、そんな気分に離れないし、王都に戻ってもどちらにせよ、暴言罵倒の数々を受けるはずだから容易に戻れる気がしない。
だとしたら本当にどうしたものか。僕のことを知らない場所に向かう、それだけでも十分なのだが………どこかに在住する気にもならない。ならば一体どうしたものか………………。
「東に行くか」
すると、ふとくちからそのような言葉が漏れる。
東に行けば誰も僕のことなんて知らにだろうし新しいことに挑戦できるかもしれない。そう考えた僕の行動は早く、手に持った串焼きを持ったままそのまま立ち寄った街を捨てるかのように通り抜けると、『東の果て』目指して歩き出した。
ぐぅ、
奇怪な出会いが起きるまでは、
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