第6話:思春期
学校生活にも慣れた頃。
面倒臭いのは、それだけじゃない事がわかった。
何かに躓いて転んだ拍子に誰かに支えて貰ったのだが。
「あ……ありがとう」
「どういたしまして」
知らない男子の声だった。
何故か胸が痛くて押さえていると、背後で男子たちの笑い声が響いた。
「見かけによらず、結構あったよ」
それを聞いてピーンときた。
故意に胸を触ってきたのだ。
オレは早々に諦めた。
あの年頃の男は、誰もが女性の身体に興味あるものだ。
自分もあの頃は、好きな女の子を泣かせていたのだから。
こういうのを因果応報というのだろう。
「どうした?」
不意にレオンの声がした。
「いえ。何でもありません」
「そう……? どこ行くの? 手を貸すよ」
「ありがとうございます。でも、大丈夫です」
オレは手探りで教室を出た。
トイレが、これまた大変だった。
今日はキラが休みなのに、朝から腹の調子がイマイチで。
腹の鈍痛をこらえて歩いていると。
「アンジェリカ」
心配してくれたのか、またしてもレオンが声をかけてくる。
「こっち、おいで」
「あの……?」
「いいから。おいで」
レオンに消毒液の匂いがする部屋に連れていかれて、見知らぬ女性教諭に下着を脱ぐよう指示された所で、絶望感に苛まれる。
初潮だと言われた。
一体、どうなっているのか自分ではよくわからなかったので、太もも付近を手で探ると、ぬめっとした感触があって。
「今から拭うから触らないで」
「あ……はい」
「馬車を手配するから、今日は早退しなさい」
女性教諭に指示されて家に帰る事になった。
廊下に出るとレオンが待っていて。
「大丈夫?」
「あの……お手数おかけしてすみませんでした」
何とも言えない気恥ずかしさを感じた。
「いいんだよ。今、アルが来るから心配しないで」
「アルフィが……?」
「これからは一人で行動しない方がいいね。アンジェリカ」
意味が分からず首を傾げていると、何故か頭をぽんぽんと叩かれた。
「アンジェ。大丈夫?」
レオンと入れ替わりで慌ててやってきたのはアルフレドは、ぎゅっと抱きしめてきた。
家に帰ると付き添ってくれたアルフレドが両親に報告したらしく、大騒ぎだった。
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