第2話ケース2

わたし、学校へいくのがすごくきらい。

だってみんなわたしの嫌なことするんだもん。

わたしのだいじなかばんをトイレにすてたり、机にたくさんきたないこと書いたり、くつをかくしたり、みんなで無視するの。

でもね。保健室の先生だけがわたしのみかた。

かわいいぬりえをくれたし、口紅みたいにキレイなクレヨンもくれたの。

先生はいつも笑顔でやさしく話をきいてくれるのよ。

あるときね、わたし先生に言ったの。

将来、先生みたいなすてきな先生になるって。

先生は笑顔でこう言ったわ。

「それなら、将来貴女みたいにすごく辛い思いをしている子にこう言ってあげてね」



<ケース2>生徒自殺誘導事件


某小学校で自殺及び自殺未遂が連続で発生する事件が起きた。

調査の結果、校内でいじめが頻繁に発生していたことが明らかになった。

重要なことは、このいじめ被害者たちに対して極めて不適切な処置をした教員がいるということである。

「保健室の先生」と呼ばれるその教員は、いじめを受けている生徒に対し「そんなに辛いのならばこうしたらいい」と自殺・自傷行為をアドバイスしていたことが判明した。

追記ではあるが、この教員も幼少期にいじめ被害にあっていた。そして、当時それに対応した教員もまた生徒に不適切なアドバイスをしていたと判明し解雇されていた。

今回の事件とこの教員の過去が関係しているかは未だ明らかになっていないが、警察は何らかの関連性があると調査を行っている。

なお、教員が使用していた「相談室」には異常とも思われる数の赤いクレヨンと、それを使用したと思われる真っ赤な塗り絵たちが発見された。

通常絵を書かせて精神状態を見極めるという方法はあるらしいが、それにしてもその真っ赤な絵たちは異常としか言いようがないものであったと警察は言う。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る