十八章 「生まれた意味とあなた」

 私は黄色いハンカチを片手にもち、宛もなく走り出した。

 ただ幽霊に会いたかった。

 私は自分の生まれた意味がやっと何かわかった。 

 考えて考えて、幽霊とのことを思い出して見つけ出すことができた。

 1人では見つけ出すことはできなかった。

 それは、自分自身を幸せにするためだ。

 人の心の声が聞こえて、人の気持ちに敏感で、本当は臆病者な私。

 心を閉ざしたのも自分を守るためだったと言える。

 自分に自信なんてなかった。

 そんな私にいつも優しく幽霊は接してくれた。

 そばにいてくれた。

 そんな幽霊がいたからこそ私はこう思う。

 私はどこまでも人を信じたくて、自分自身も幸せになりたい。

 人を本当の意味で恨むことなんて私にはできなかった。

 他の人が笑顔になると、私も幸せな気分になる。

 私が好きなことをしたり好きな人といると幸せになる。

 綺麗事だと言われても構わない。

 それに負けないぐらい自分が強くなればいのだ。

 「綺麗事」を、「本当のこと」に変えてしまえばいいだけだ。

 例え自分勝手と言われようとも、私は何よりも自分が幸せになることを選んで生きていたい。

 人生で1番長くともにするのは自分自身なんだから、心にいる小さな自分を大切にしたい。

 私は私を愛すことができたから。

 生まれた意味を知ることは、きらきらと光輝くものだった。

 


 ひまわりがきれいに咲いているところで私は足を止めた。

 太陽はさんさんと照り輝き、もうすっかり日差しも暖かくなっている。

 でも、例え雨が降っても、もう私の心の涙は思わない。

 突然風が強く吹いてきて、砂ぼこりをあげた。

 しばらくして目を開けると、私は1人の人を見つけた。

 その人は黒い短髪の、爽やかな雰囲気がしていた。

 笑うと目がくしゃっとなりそうなつぶらな目だった。


「幽霊の悠くんー!!」


 幽霊の手紙にあったように、一目見ただけでわかった。

 姿形は同じではない。

 幽霊の独特の雰囲気も出ていない。

 でも、あの幽霊だとわかった。

 うまく説明はできないけど、その人からはあの幽霊のぬくもりが伝わってきた。

 私が幽霊を見つけられないことなんてやっぱりないんだ。

 私が幽霊を見つけるられると幽霊は予言した。

 本当に幽霊はどれだけ力があるんだと感心する。

 私は、幽霊にまず感謝を伝えたい。

 話したいことがたくさんある。

 伝えたいこともたくさんある。

 言葉が溢れてくる。

 こぼれないように、私は次の言葉を言おうとしたとき、「もう幽霊じゃないから」と幽霊はくしゃっと笑った。 

 笑顔が、また咲き誇る。

 私の世界は笑顔で溢れる。

 幽霊の言葉があまりにも愛しくてきゅんとした。

 私はその幽霊の口に人差し指をあてて、しーっと言った。そして、「そんなこと今はどうでもいいじゃない」と笑顔で話し出したのだった。

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笑顔の下でまた会いましょう 桃口 優/再起を目指す作家 @momoguti

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