七章 「絶望」
それから、私も学校に行き始めて、色々な人と出会った。
でもそんな時も、あの声はずっと聞こえてきた。
クラスの人は「私達は友達だからね」と励ましながら、全然共感していない言葉が同時に伝わってきた。
私はその度に頭が混乱した。
どちらの声が正しいかなんてわからないから。
頭に響いてくる声を無視して、普通に笑顔でクラスの人と接することは私にはできなかった。
実際にその人の声でそれが聞こえてくるのだから、私も少しはそんな風に思っているのかなと相手をみてしまう。
そして、自分から1人になっていった。
それから私はどんどん自分を責めていった。
こんな声が聞こえるのは、私が悪い子だからとか本気で思っていた。
だって理由がわからないのだから。
ただただ自分を責めた。
いつも自分が生まれた意味を考えていた。
こんな私に意味なんてあるのだろうか。
もしかしたら、ただ何かしらの意味を見つけることで自分が安心したかったのかもしれない。
この頃、私は親に無理やり精神科につれていかれた。
でも、私は何も話なかったので、医者は診断しようがなかった。
必死に「何とかしてください。私の子は本当はおかしい子じゃないんです」と親は医者に泣きついていた。
今思えば、この頃から感情は欠如し始めてきていた。
私はその姿を何も感じず黙ってただ見ていた。第三者のように傍観していた。
本当は別のことを思っていることを知っているから。私の心配なんて微塵もしていない。
どうしたらこの声が聞こえなくなるんだろうと思った。
どんどん声が聞こえること自体がストレスになっていき、私の心を蝕んでいった。
色々な人と出会い、その度に声にしている言葉とは違う声が聞こえてくる。
そういえば、あの時お父さんは少し焦った顔もしていた。
つまりは、あの声は全く検討違いのことを言っていた訳ではないということだ。
友達付き合いには、空気を読むことも必要だと、付き合っていてわかった。
人は自分の都合のいいようになるように、私に優しい言葉をかけているときが多いとわかってきた。
それらのことから、これは人の心の声が聞こえているということがわかった。
その瞬間、私は私に絶望した。
もうどうでもいいと思った。
なんでこんな力なんてもってしまったのだろうか。
神様は私に罰与えているのだろうか。
この先いいことなんてきっと起こらないと思えた。
実際に心の声だとわかってから、いいことなんてこれっぽちもなかった。
死んだら、こんな苦しい思いはしなくてすむと思った。
死後の世界でも苦しんでいると言う話を聞いたことがない。
そして、自殺衝動が抑えられなくなった。
もうその頃には私の心は取り返しのつかないところまで来ていたのだった。
それ以降、私の感情が完全に失われていった。
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