第2話 悪女は微笑む
「……ふうん、そういう事なのね」
空が夕焼けから闇に染まる頃、男爵家の一室、白い壁や調度品に、ピンクのカーテンや天蓋つきのベッドや小物と、その部屋の主を表したかのようなかわいい部屋のベッドに座った彼女は、近くのテーブルにランプを置き手に持った資料に目をとおしてニヤっと笑った。
「……ここは悪役令嬢が主人公のネット小説の世界。というわけね」
ふふっと笑うと、彼女は立ち上がって、ピンク色のカーテンを開ける。
部屋に月明かりが差し込む。
「思い通りにならないはずだわ」
スッとベランダに黒い上下の忍者のような服をまとった男が現れる。
「ハンス家の長男と、ウェル家の長男について調べなさい」
「はい」
男はそれだけ返事をすると、闇に溶けるようにいなくなった。
外には闇が広がって、鳥の声が不気味に響き渡るだけだった。
月は雲に隠れて闇がひろがる。ベランダに佇む少女は、手のひらを上に向けて光の魔力を集めて手の上に、水晶玉ほどのまあるい光を作る。
その光に照らされた、そばかすが愛らしくみえるほどの美少女は、悪魔のように微笑んだ。
「ふふ、私がヒロインのゲームに物語を変えてやるわ。この力があれば、私はなんだってできるのよ」
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