第12話俺、『ぷーたろー』

 そして「あ」っという間に元のレベルまで強さを戻した勇者たち。途中、銀色の泡っぽいスライムの真似をした緑色の泡っぽいスライムも倒したが、その都度、手下たちに注意する魔王。


「ちゃんとやらんか。ちゃんと」


「そうだぜ!ったくよおー!こっちはドラゴンに変身してやってるのに炎で全滅させたら毒だけのスライムってなんだよおおお!」


「ごほん!まあ、その辺はだなあ。この者どもも一生懸命協力しておる。余に免じて…」


「ああ?てめえの口車に乗って協力してやってることを忘れんじゃねえよ!この二千年前ムッツリがああああ!」


「ふん。いつまでも昔のことをネチネチと。貴様ら、最初の酒場でもっと性格が素直なものをだな…」


「ああああああああああああああ?」


「ごほん!まあ、よい。それにしてもこの短期間で貴様らも強くなった。だが、あの『とてつもない力を持つもの』にはまだ勝てん!」


「そうなん?」


「そうだ!あのものの強さは余が誰よりも知っておる」


「どうする?」


「おほん!『転職活動』があるだろうが」


「あ、そっかあ!忘れてたわー」


「魔王さあー。お前が銀色の泡っぽいスライムを全部倒せよ。どんどん。その間にあたしたちは一通りの職業全部コンプリートすっからさあー」


「(こいつら…。それで強くなって…、あのものを倒したとして…。余はこいつらを倒せるのか?)ふん。甘えるな!と普段なら言うところだが、よかろう。貴様らには最大まで強くなってもらわんとな。余もその方があのものを倒した後で貴様らを倒す楽しみが増えるというものだ」


「なあなあ、前はこいつ二回変身してたけど三十ターンぐらいでとどめ刺すとこまでいったんやっけ?」


「うん、多分そんなもんだぜ?」


「じゃあさあー。職業コンプリートで武器も防具も最強じゃん?次やったらこいつ倒すの『四ターン』ぐらいじゃね?」


「うん、なんかそれぐらいで倒せるだろう」


「(こいつら…)ふん。余はまだ変身を八回残しておる。ここだけの話だが」


「はいはい。じゃああたし、まずは戦士になってみるわあー!」


「じゃあわいは武道家に」


「あ、あたいは魔法が使ってみたかったからとりあえず魔法使いー」


「俺は勇者だけど前から『ぷーたろー』やってみたかったんだよなあー。『ぷーたろー』は『賢者』になれんだろ?」


「ごほん!勇者は転職活動出来んのだ」


「え?そうだっけ。何とかなるだろ?」


「そうだそうだ!あたしも最後は勇者がいいぜ!」


「わいも」


「あたいも」


「ごほん!ダメだ!勇者は一人だから勇者なのだ!それを貴様らは…」


「でも勇者は『ぷーたろー』になりたいと言ってるぜ」


「そうだそうだ!それに一通り全部の職業を鍛え上げれば最強になれるんだろ?そこは全員平等にじゃねえかい?」


「ごほん!分かった分かった。余の方からあの『神殿』のものに上手く説明しておこう」


 こうして勇者たちは魔王の気遣いと広―い懐のおかげで全職業をレベルマックスまで短期間で鍛え上げ、装備も最強になった。ちなみに残念なことにこの勇者たち。名前がそれぞれ勇者が『勇者』、女戦士が『女戦士』、僧侶が『僧侶』、女賢者が『女賢者』と呼び合っていたので最終的に勇者は『勇者』、女戦士は『女武闘家』に、僧侶は『賢者』に、女賢者は『女戦士』になったがお互いの呼び方は変えなかった。


 そして最強に鍛え上げられたこの世界では最強となった勇者たちと魔王はパーティーを組み、あの『とてつもない力を持つもの』と再び戦うこととなった。

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