第11話人としてどうなのだ?

「どうする?」


「うーん。まあ、この世界が平和ならいいんじゃないかなあ?だって『レベルいち』だし。また時間かけて強くなるのを考えると、ねえ」


「ふん。女戦士と女賢者はどうなのだ」


「あの野郎が…。『ぱふんぱふん』…。あああああああああ!女賢者ぁ。あんたはどうなのよ」


「あたし?うーん。でも『レベルいち』だろ?かったるいしなあ…」


「ふん。じゃあこれならどうだ?」


 魔王が手下の一人に命令し、銀色の泡っぽいスライムを一匹連れてこさせる。


「ん?」


「見ているがよい」


 そして、その銀色の泡っぽいスライムを一撃で倒す魔王。そして言う。


「今ので貴様らは恐らくレベルが十五ぐらい一気に上がっただろう。女賢者と僧侶と勇者にはこの魔法力が回復する『祈ってみる指輪』をやろう。使ってみろ」


 そしてそれを受け取り、魔法を使ってみる勇者たち。


「あ!ホントだ!」


「ホンマや!すげえ」


「さっきまで使えなかった呪文が中級ぐらいまでは使えるようになってるぜ!!ちょい、魔王試し打ちいくぜー」


 そう言って結構強い炎の魔法を魔王に向かって唱える女魔法使いに戻ってしまった女賢者。炎が魔王に直撃する。勇者や女戦士も同じく魔王相手に試し打ちや試し切りを全力で放つ。


「(全然ダメージは受けないが…。こいつら…、余を相手に試すか?勇者などとか言われているがその前に人としてどうなのだ?)ふん。まあ、貴様らも分かっているだろうが余が倒した銀色の泡っぽいスライムは経験値をたくさん得ることが出来る。今、余は貴様らの仲間として銀色の泡っぽいスライムを倒した。だから貴様らも経験値とやらを手にしたのだ。まあ、余にはその経験値の概念などないがな。ふん。これを繰り返せば貴様らのレベルとやらをあの元の状態に戻すことに時間はそうかからぬ。どうだ?」


「まあ、それなら…」


「てめえ!意外と頭いいなあ。褒めてやるぜ!」


「つーか、自己都合で自分の手下の命を奪うかねえ。やっぱこいつは悪いやつだぜ。でもアイデアは褒めてやるぜ。おら、どんどん銀色の泡っぽいスライムを連れてきな!そしてぶっ倒しな。一匹なんてすっとろいことしてんじゃねえよ。その辺が抜けてるよなあ。てめえはよお」


「まあ、魔王のアイデアでレベルもすぐに元の強さに戻せるし。こいつに協力してやってもいいのではないか?」


 こいつら…。と思いながら自らの手で命を奪った銀色の泡っぽいスライムに蘇生の魔法をかけて蘇らせる手下思いの魔王であった。

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