5.怖い顔の人は優しい人か怖い人の二択しかない気がする。
……………………
Side:琴莉
トントン
ノックの音が聞こえる。今日はお見舞いに来る人が多いなー、でも今来れる人の心当たりが無いんだよなー。そう思いみうちゃんの顔を見るとみうちゃんも誰だろう?って顔をしている。たぶんあたしも同じような顔をしてるだろう。目が合って少し笑ってしまう。
「どーぞー!入っていいですよー!」
「失礼します。」
聞こえてきたのは知らない男の人の声であたしはますます困惑した。
……………………
Side:美唄
「どーぞー!入っていいですよー!」
「失礼します。」
聞こえてきた男の人の声を聞いて私は頬を緩める。知ってる声だったから少し安心した。
扉が開くと鬼瓦みたいに恐い顔で投げ技系の格闘技をしているタイプの体付き、ポケ〇ンで言うとダゲキではなくナゲキみたいな感じの男の人がお見舞いの花束を持って立っていた。すごく筋肉質で丸太みたいに硬そうで太い腕に優しく抱かれてる花束のギャップに思わずニヤニヤしちゃう。
「ゴウキさん!さぁさこっちにどーぞっ!」
私はゴウキさんから花束を受け取ると窓際に飾った。綺麗で良い花ばかりで高そうだなー。花瓶に容れて飾っておきたいな。
「えっと、ゴウキさん???」
「紹介するねっ!この鬼みたいに強そうな人は刑事の鬼瓦さん!ちょうどあの時、
「申し訳ないっ……!あの時もっと早く俺が気づいていれば、琴莉さんがこんな大怪我しなくて済んだのに……!」
突然、ゴウキさんが深々と頭を下げた。
「そんな、頭を上げてください。鬼瓦さんが居なきゃ多分あたしは殺されてましたよ……!」
「そうですよ!コトちゃんの次は私だったかもしれないですし。私たちの命の恩人です……っ!」
しかもゴウキさんの声が私を現実に引き戻してくれたから、救急車とか呼ぶことができたんだしね。ゴリさんは本当に命の恩人だ。
「それでも……」
「それにあたしも生きていますし、こちらこそ助けていただいてありがとうございます。ですよ?」
「そーですそーです……っ!コトちゃんの言う通りですっ!」
「……っ!……そう言っていただけるとありがたい。申し遅れました。俺は立華警察署、捜査1課の
「周りの人からはゴウキさんって呼ばれてるんですよね!婦警さんから聞きました!」
「あはは……確かに鍛えられた身体が
「……佐藤め、絶対面白がって伝えたな……」
言われてみれば婦警さんこの話してる時ものすごく笑ってた気がする……
「ま、まぁ!でも……それだけ慕われてるってことですよ!」
「そうだ、あたしもゴウキさんって呼んでいいですかー?あと、堅苦しいので敬語じゃなくていいですよ!あたし達の方が年下ですもん!たぶん、素の方が話しやすいですよね?」
「……そうか?それならそうさせてもらうかな。正直敬語は少し苦手でな、あと別に鬼瓦さんで良いぞ?」
「ゴウキさんって呼びますね!その方が面白いですしー」
「そうか…………」
ふふっ……ゴウキさんちょっと残念そう。でも似合ってるし仕方ないよね。
しばらく雑談をしていたら帰る時間になったらしい。
「じゃ、俺は帰るから、何か困ったことがあったら連絡してくれ。絶対に力になる。」
ピッ、ポロン!
RaiNを交換してゴウキさんは帰っていった。
「最初怖い人かなーって思ったけど優しくて良い人だったねー」
「面倒見がすごく良くて子供とか動物とか好きらしいですよっ!婦警さんが言ってました!」
「あー確かになんか雨に濡れた子犬に傘とか貸してあげそう」
「わかりますっ!そしてあの渾名、言い出した人の着眼点いいですよね!」
「あははっ!ほんと!あの渾名言い得て妙だよね!」
こうして今日も一日があっという間に過ぎていった。
「ふー……今日もいっぱい話せたなー……」
面会時間はとっくに過ぎて、今は家で着替えている。
思えば人とこんなにずっと話してるなんていつ以来だろう?覚えてる限りだと初めてのことかも?こんなに楽しいことならもっと前から勇気をだして色んな人と話せば良かったかな……?いや、コトちゃんとだから話したいのかも……でも、
「コトちゃんは私以外にもいっぱい友達居るんだよね……」
そう思うとなんか心の奥がモヤモヤした。なんだろうこの気持ち……やな感じ……。
ポロン!
聞こえてきた通知音に部屋をゴロゴロ転がりながら近づく。コトちゃんからだ。
コトリ『大ニュース!』
美唄『なになにー?』
コトリ『退院、決まりましたー!』
美唄『え、やった!よかったね!いつなのー?』
コトリ『明後日!明日、抜糸して金曜日には退院できるって!』
美唄『じゃあ!』
コトリ『うん!土曜日に一緒に服買いに行こ!』
美唄『今からもうたのしみー!』
………………
今日は夜遅くまでにならないよう気をつけよっと。明日も遊びに行きたいしね。
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